暁 〜小説投稿サイト〜
ユア・ブラッド・マイン 〜空と結晶と緋色の鎖〜
第6話『影』
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「いっ……てぇ!! 何するんですか燕さん!!」
「暗い中か弱い少女を一人で歩かせた罰だ!」

 いずもに帰った玲人を出迎えたのは燕の拳骨だった。 体罰で教育委員会にでも訴えたら勝てるんじゃないだろうか。

「ま、まぁまぁ。 私は気にしてませんから」
「そうは言うがな立奈……まったく、私はお前をそんな奴に育てた覚えはないぞ? 一体何があった」
「育てられた覚えもないし……っと、そうそのことで話が。 ちょっといいですか?」
「構わんが……宇宙、輝橋の事を頼めるか?」
「はい。 頼まれました」
「ねぇ、ギバちゃん先生は今日1日で俺の宿題全部終わらせる気なの?」

 最後のは立石たちがゲームをしているのを横目に宿題に向き合っている輝橋の言葉。 数IIの問題集越しに恨みがましい視線を投げかけてくる。
 自業自得だと視線を返してから、燕と共にいずもを出る。 裏手の少し森に入ったところで玲人は口を開いた。

「昼間に長谷川さんの言ってた不審者ってやつ、覚えてますか?」
「あぁ、それがどうかしたか?」
「その話、マジ……かもしれないです」
「何?」

 玲人は展望台で見た影についてできるだけ詳細に燕に説明する。

「……見間違いという可能性は?」
「その可能性を考慮して、って感じですかね。 とりあえずは燕さんだけに」
「正しい判断だ。 不用意に混乱させる必要はない」

 燕は腕を組んで考え込んでいるようだ。 玲人も玲人で今日の出来事を振り返る。 思えば、不審な影を見たのはさっきの展望台が最初ではない。
 虎徹山に着く前。 雑木林の隣を通った時にも何か見えた気がする。 あの時は見間違いか何かだろうと思ったが、怪鳥が本物だったと考えるとこっちも見間違いではない可能性があるか。

「……切り上げて帰りますか?」
「……いや、もう暗い。 今移動する方が却って危険だろう」

 確かに、もう空には星がちらほら見え始めている。 何かいるいないに関わらず危険なのは確かか。

「燕ちゃーん? もうお風呂行こうって話になったんですけど燕ちゃんも行きますかー?」
「あぁ、わかった。 今戻る」

 どうしたものかと二人して考えていると、いずもから武蔵野先生の声がした。 今日のところは予定通り行動し、具体的な対応は明日からとるといい、燕はいずもへと戻っていく。
 せっかくだから夜空の写真でも撮っておこうと思い、デジカメの電源を付ける。すると、ディスプレイには森の中で撮った石碑の写真が映し出された。 そういえばこれを立石に見てもらおうと思っていたんだったか。

「立石ー、ちょっといいかー?」

 写真を撮り、玲人もいずもに戻る。 しかし、いずもにいたのは輝橋と如月の二人だけだった。

「あれ、立石は?」
「ん?
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ