第三章
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「だからよ、それでね」
「中々人に懐かないか」
「そうなのよ」
「そうなんだな」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「お兄ちゃんボンドがうちに来てから少しだけれど」
それでもというのだ。
「明るくなったわよ」
「そうか?」
「ええ、まだ色々檀家の人達のことは」
「あるけれどな」
それぞれの家庭の事情それも極めて重いものばかりがというのだ。
「ずっと」
「そうなのね」
「ああ、相変わらずな」
「けれど少しね」
「ボンドが来てからか」
「多分ボンドのことを考える様になって」
それでというのだ。
「その分ね」
「少し明るくなったか」
「そうだと思うわ」
こう言うのだった。
「お兄ちゃんもね」
「そうだといいな」
「だからな」
それでというのだ。
「もっとボンドとね」
「一緒にいたらいいか」
「そう思うけれど」
「そうか、実際犬のことを考えてな」
「相手をしてると?」
「そっちに頭が向かってな」
檀家の人達のことを考えずに済んでというのだ。
「いいな」
「そうよね」
「漫画読んでもゲームしていてもな」
「考えることは」
「ああ、檀家の人達のことで」
その極めて重いことでというのだ。
「気が晴れないんだよ」
「どうしても」
「泳いでいても」
ジムのプールで泳ぐのが日課だ、ストレス解消だけでなく健康の為にもそうしている。その為身体も引き締まっている。
「泳ぎ終わったらな」
「もうそれでなの」
「すぐにそっちの考えにいくけれどな」
「ボンドといると違うのね」
「いる前も後もな」
そうした時もというのだ。
「ボンドのことを考えて」
「ご飯のこととか散歩のこととか」
「相手している間もずっとボンド見てな」
「ボンドのこと考えるから」
「自然とな」
「檀家の人達のことから離れられて」
「いいな、じゃあな」
それならというのだった、自分から。
「これからもな」
「ボンドと一緒にいるのね」
「相変わらず懐かないけれどな」
それでもというのだ。
「ストレス解消になるしな」
「一緒にいるのね」
「ああ、そうしていくな」
こう言ってだった、健はボンドと一緒にい続けた。その結果彼は徐々に明るくなった。そうこうしているうちに問題を抱えていた檀家達もそれぞれ解決していき。
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