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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第20話 姉の方は別に……:前編
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 勇美と壮絶な戦いの末にしょうもないオチで締めくくられて意識を手放したレミリアであったが、ものの十分程で目を覚まし、自分が運ばれていたベッドから起き上がったのだ。さすがは吸血鬼の身体能力の賜物といった所か。
「お目覚めですか、お嬢様」
 そう目覚めたてのレミリアに言葉を掛ける咲夜の様子に心配した素振りはなかった。
 これしきの事で我が主が大事に至る事はないという信頼の証であった。
「ええ、いい目覚めよ」
 レミリアも、そんな咲夜の信頼に応えるべき態度を示した。
 だが、当のレミリアを打ち倒した勇美は気が気ではなかったのだ。
「レミリアさん、大丈夫ですか?」
 そう心配そうにレミリアの顔を覗き込みながら言う。
「ええ、問題ないわ。あなたは私を倒したんだから、もっと堂々としていなさい」
「……はい!」
 勇美はレミリアに言われて、元気良く返事をした。今の自分はもっと自信を持っていいんだと自分に言い聞かせながら。
「それで、勇美。今夜は遅いからこの紅魔館に泊まって行きなさい」
「そう言ってもらえると助かるわね。今から永遠亭に戻るのはリスクが大きいから」
 レミリアの提案に依姫は便乗する形を取る。相手の好意は素直に受けるべきだと彼女は思っているからだ。
 しかし、勇美は踏ん切りが着かないようだ。
「何か悪いですよ。それに、ここは人間が過ごすには問題あるんじゃないですか? 日当たりとか」
 それが勇美が懸念する事であった。吸血鬼に合わせて作られた館では人間である自分には馴染まないのではないかと。
「遠慮する事はないわ」
 だがレミリアはさらりとそう言ってのけたのだ。
「それに、後者の方が心配なら、問題なく解決出来るからね」
「……?」
 意味ありげなレミリアの発言に、思わず勇美は首を傾げてしまうのだった。

◇ ◇ ◇

「う〜ん……」
 心地良い気だるさの元、勇美は朝の目覚めを迎えた。
「うん、いい朝〜。不思議と気持ちいいね」
 勇美は快適な目覚めに抱え入れられて満足気に呟いた。
 結論から言って、結局勇美は依姫と共に紅魔館で一夜を過ごしたのだった。
 陽の光を弱点とする吸血鬼に合わせて作られた館。当然窓は少なく、人間には苦痛となる者もいるだろう場所での就寝であった。
「これも美鈴さんのお陰だね〜」
 そう、この館で快適に過ごせたからくりの正体は、館の門番である紅美鈴であったのだ。
 昨晩、勇美が紅魔館に泊まる事を聞いた美鈴は、自ら問題解決の為に名乗り出たのだ。
 そして、その後は彼女の得意分野の気孔の出番だったという訳である。
「どういう事ですか?」
 勇美は美鈴に言われても、要点を掴めずに首を傾げてしまったのだ。
「簡単な事ですよ、私の気を勇美さんに送って代謝能力を一時的に高めるんです。
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