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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第13話 人里の守護者との再会
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引越して以来の、依姫にとっては初の人里へ出向く日がやってきたのである。
「勇美、準備は出来たかしら?」
 依姫はそう勇美に呼び掛ける。
「はい、ちょっと待って下さい、今大事な所ですから!」
「……わかったわ」
 何やらいつになく勇美の言葉から必死な様子を感じ取った依姫は、彼女にとって大事な事なのだろうと見守る事としたのであった。
 そして、暫しの間待った。
「お待たせしました〜」
 時の停滞を破るべく、勇美は颯爽と依姫の前に現れたのだった。
「一体何にそんなに時間が掛かったの? ってグアッ……!」
 思わず依姫ははしたない声を吐いて、思い切り仰け反った。
「どうですか〜依姫さん♪」
「……」
 勇美に問われても、依姫は一瞬声が出なかったが、何とか声を振り絞って言葉を紡いだ。
「まず結論から言うわ……却下!」
「ええ〜……」
 依姫の無慈悲な宣告を受けて、勇美は項垂れてしまった。
 だが、依姫のその対応も無理ない事だろう。
 何故なら、余りにも今の勇美は酷過ぎたのだから。
 まず顔はおしろいを塗ったと見紛う真っ白な化粧が施されていた。一時期ガングロメイクが流行った時代に、まるでその波に逆らうかのように『美白』を追求した時の人を彷彿させる程であった。
 そして目にはアイシャドーが過剰にあしらわれていたのだった。適度なものなら妖艶さや美麗さを引き立てる役割を果たすそれも、今の勇美程やってしまってはもはや『目で人を物理的に殺せる』ような状態であった。
 極め付きは真っ赤な口紅である。勿論過剰に口に──ぶちまけられるといった表現が合う程であった。さながら妖怪人間ベラ、もしくは何故かこの部分を抜粋して紹介されたイラストが多く出回った『もののけ姫』のサンのとある状況と時さながらであったのだった。
 そう、はっきり言って。
「化け物よ、貴方」
 それが依姫の包み隠さない、ありのままの答えであった。
「そこまで言いますか……」
 それに対して、しょげながら勇美は呻いた。
「そもそも何で化粧なんてしているのよ」
「え〜、だってぇ……」
 当然の疑問をぶつける依姫に対して、勇美はふてくされたようにのたまいながら言う。
「久しぶりに慧音さんに会いに行くんだから、これ位しないと礼儀がなってないじゃないですか」
「寧ろ無礼よそれは。それに……」
 そこで依姫は一息置いて、そして続けた。
「それに、着飾らない貴方の方が素敵の筈よ」
「!」
 それを聞いて、勇美は頭に電気が走るような心持ちとなった。
 思えば慧音もそういう考えの人だったのだ、やはり慧音と依姫はどことなく人格面で似ているなと勇美は思った。
「そうですね、今の言葉で目が覚めました」
「でしょう、ならその化粧を今すぐ落としてきなさい」
「はい、でもこれ
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