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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
揺籃編
第十六話 士官学校入校
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発表はあくまでも『リンチ司令官の指示でヤン中尉は脱出計画を策定したが、当の司令官は逃げ出してしまった。ヤン中尉は冷静に、司令官捕縛に躍起になる帝国軍の隙をついて、脱出船団を大規模小惑星群に偽装してエル・ファシルから脱出に成功した』なんだからな」
「そう言われると、確かに余計な事は喋っちゃダメだな」
「だろ?ヤン中尉だって大変さ。司令官が逃げ出した不名誉を覆い隠す為に、必要以上にヒーローとして祭り上げられちゃうんだぞ。まあセンサーをごまかすのに大規模小惑星群に偽装、なんて思い付きもしなかったけどな」
「…オットー、お前、大人になったなあ」
「事情が分かれば、これくらい予想はつくよ…ヤン中尉は明日昇進らしいぞ」
「落ち着いたら昇進祝いだな。入学祝いやってくれるって言うし、兼ねて盛大にやろう」


 今日はとりあえず着校だけで何もない。明日は挨拶、面接、筆記試験を行う事になっている。。
俺達の住まいは士官学校の敷地北側、B-1棟3階、42号室が割り当てられた。士官学校生だけど、現役の軍人でもあるから敷地外に部屋を借りる事も出来るみたいだけど、面倒だからやめた。
「オットー、お前はどの課程を希望するんだ?」
「戦略研究科。マイクは?」
「俺も同じ」
「…みんな同じかい」
「術科学校の時は元々友達でもなかったし、課程もバラバラだっただろ?、今回はヤマトに合わせようと思って、マイクと話してたんだよ」
「理由が雑すぎる。戦略研究科って、エリートコースなんだぞ?お前達に務まるか?」
「お前だって務まるかどうか分からないだろ?」
「……頑張るか」



7月16日 バーラト星系、ハイネセン、ハイネセンポリス、自由惑星同盟軍統合作戦本部、
参事官室 アレックス・キャゼルヌ

 「着任した早々に大事だったな、ヤン」
「大変でしたよ。緊急出撃に遅れたのがいけないんですが」
「お前さんのその呑気さにエル・ファシルの民間人、いや同盟は救われたんだ。そうぼやくな。それに出撃していたら戦死していたかもしれん」
「まあそうですが…そういえば新しい友人が出来ましたよ」
「ほう。どんな奴なんだ」
「まだ下士官なんですがね、懐の深い、優秀な若者ですよ。ヤマト・ウィンチェスター曹長とオットー・バルクマン曹長…昨日付で准尉に昇進したのかな。今頃は士官学校にいる筈です」
「おいおい、まさか将官推薦された三人の内の二人か?」
「そのまさかですよ。それにしても将官推薦ってそんなに大事なんですか?五十年ぶりなんでしょう?」
「…将官推薦だぞ。統合作戦本部でも大騒ぎになったよ」
「へえ、そうなんですか。そんなにご大層な物だとは…そもそもそんな制度があった事も初耳です」
「それはそうだ、全く使われなくなったから、知らない人間も多いだろう。それに将
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