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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第4話 野生人形
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「そ、そうですか……」
 なおも依姫にそう言われて、勇美は嬉しくて照れてしまう。
「そう、もっと自分に自信を持ちなさい」
 依姫はそう締め括った。『自信を持つ事』その言葉は勇美だけでなく、改めて自分にも言い聞かせていたのだ。姉と師の存在に加えて、その心掛けがあったからこそ今の自分があるからだ。
 依姫がそんな思いを馳せながらも、二人の憩いの一時は終わりを迎える。
「お茶とお饅頭、ご馳走様でした」
「ふふっ、今度それを鈴仙に伝えておくわね」
 依姫は嬉しそうに言った。
 そして、後片付けとなる所で近くで声がした。
「こんにちはー、永琳はいるー?」
 それは勇美にとって聞き覚えのない声であった。当然彼女は疑問に思う。
「依姫さん、誰の声ですか?」
「そういえば説明していなかったわね。私も余り会う機会がなかったからね」
 依姫がそう言う間に、その声の主は側まで来ていたのだ。
「えいりーん? って、あなたは確か?」
 そう言ってとうとうその人物は依姫と勇美の前まで現れていたのだ。
「あなたは永琳の元お弟子さんでしたっけ? 噂は聞いているわよ。月では霊夢や魔理沙達に弾幕ごっこで勝ち抜いたって」
「ぶふぅ〜」
 驚きの余り勇美は吹き出してしまった。丁度お茶を全て飲み終えたところで良かっただろう。でなければ見事に漫画の如く噴出していただろうから。
「勇美、女の子がはしたないわよ」
「すびばせん……」
 だが、十分に年頃の少女としてみっともない醜態は晒してしまったのだ。見事に依姫に注意される勇美。
「でも、驚くのも無理はないってものですよ。あの霊夢さんや魔理沙さんに勝ったって!」
 勇美とて、霊夢や魔理沙の幻想郷での影響力というものは十分に認知しているのだ。だから驚きは隠せなかったのだ。
 依姫の実力はルーミアとの戦いの時に垣間見たつもりであった。だが、それは氷山の一角に過ぎなかったというのか。もしかしなくても、自分はとんでもない人に見初められてしまったのではないのか。
「どうやら大それた事のようね」
 依姫はそう言った。ここで『大した事はない』と言っては霊夢達に失礼に当たるし、何より下手な謙遜はしないのが彼女の流儀だからだ。
「本当に私で良かったんですか?」
 そんな話になっては、勇美の一旦は括った腹がここに来て再び緩みかけてしまう。
「言ったでしょ。貴方は力を必要としているし、私も貴方が神の力をどう使っていくのか見届けたいって」
「はい、そうですよね。済みません、しつこくしてしまって……」
 だが依姫に改めて言われて、勇美は緩んだ腹を再び括り直すのだった。
「あのさー、二人で話が盛り上がっている所悪いけどさー、私の事忘れてない?」
 そこでようやく、この場の三人目の者から声が掛かってきた。
「あ、ごめ
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