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ライヒスタークに赤旗をB〜伊吹萃香の驚愕〜

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「すぐに砲兵の支援を……」

「却下。味方まで巻き込むから」

「しかし、伊吹元帥。バチカンのエクソシスト供にはこれが一番有効です!」

 ソ連に妖怪という兵科があるように人類統合体にも対妖怪の兵科があった。
 エクソシストや退魔師といった妖怪退治のエキスパートである。
 古より妖怪を狩り、影で国家鎮護の役割を果たしていた彼らは、ソ連という妖怪をも主力として扱う敵が現れたことで、俄かに脚光を浴びることとなった。


 名前は国家ごとに違えど妖怪退治に最も長けた集団であることに違いはない。
 特に精強で鳴らしたのはバチカンのエクソシストたちであった。


 しかし、彼らに共通した一つ弱点がある。それは古くからの伝統にこだわるあまり現代兵器に頼らない傾向があったのである。
 例外はあるものの、長年裏で活動してきた自負からか、現代の利器に対して拒絶反応を起こす者が多かった。しかも独立して動くことを好む。
 その結果、妖怪の攻撃には滅法強いが現代兵器に弱い。それが定説だった。


 だから驚愕したのだ。突出した性能の現代兵器で身を固めた米国系の軍隊――しかもプロテスタントである――と伝統に固執するカトリックの総本山のエクソシストは犬猿の仲である……はずだった。


 それがこの戦いでは、戦車や歩兵とうまく歩調を合わせてこちらに打撃を与えてきているらしい。
 すぐさまこちらも人間種と妖怪の連携を取り始めたが、戦況は悪化している。やはり最初の被害が痛かった。

「とはいえ、このままじゃだめだね。よしバチカンの化け物どもはあたしが受け持つよ! チュイコフ!」

「お供します。前線指揮はお任せください」

「な!? 総大将が前線に行くなど正気ですか!」

「この感じ。イスカリオテが来てるよ。だったらあたしが出張るしかないじゃないの。指揮は咲夜に任せるわ」

「いえ、私も行きます。イスカリオテはお嬢様に仇名す憎き敵。この機会に徹底的につぶした方がよいでしょう。――ジューコフ」

 上司の無茶振りに驚愕しつつもジューコフが全軍の指揮を執ることになった。彼女の指揮能力は卓越しており、萃香たちが前線に到達するまでの時間を見事に戦線の崩壊を防いだ。
 そして萃香たちを迎えたのは――。

「我らは神の代理人 神罰の地上代行者 我らが使命は 我が神に逆らう愚者を その肉の最後の一片までも絶滅すること――― Amen!」

 レミリアの宿敵。アレクサンド・アンデルセンだった。プロテスタントを毛嫌いしているはずの大物の登場に咲夜とチュイコフが驚愕する中、予想通りの強敵に萃香は一人嗤った。
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