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老人へのサービス
第一章
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               老人へのサービス
 川上恒雄は世界屈指の新聞社の会長兼主筆にして筆頭株主であったので金は持っている、ついでに言うと権力も持っている。
 だがその分なのか性格は異常に悪い、幼い頃から能力は高かったがそれこそ彼を知る者全員から嫌われていた。
 妻の早百合ともただの政略結婚であり傲慢で冷酷、吝嗇で腹黒く卑怯で嫉妬心が強く執念深く自己中心的で底意地が悪く陰険で人を人と思わない彼を忌み嫌っていた。
 それである日のことだ、親しい友人の牧田志麻にこんなことを話した。
「結婚して四十年になるけれど」
「ご主人のことね」
「ええ、四十年一緒にいて」
 政略結婚で一緒になってもというのだ。
「それでも」
「あの人はね」
「性格的にいいところは」
 早百合はよく見れば非常に整い品のいい顔をしている、面長で目鼻立ちは優しくしかも整っている。まるで女優の様である。色白で髪の毛も年齢を感じさせない。筈だった。
 だが妙に疲れている、そのせいで実際の年齢よりも遥かに年上に見える。何故そうなっているかは言うまでもなかった。着ている和服も立派だがやはり年齢を感じさせる着方になっている。
「ないから」
「それで有名な人ね」
「ああした人でないとやっていけないのかしら」
「新聞社の会長さんは」
「随分なことしてきたらしいし」
 今の座に就くまでだ。
「随分怨みも買ってきてるのに」
「そうしたことが平気な人でないと」
 友人はこう早百合に話した。
「それこそね」
「やっていけない世界なのね」
「ネットでもそう言われてるし」
 新聞社の世界もっと言えばマスコミの世界はだ。
「人として間違っていないと」
「生きていけないのね」
「どんな嘘を吐いても悪いことをしても」
 それでもというのだ。
「問題にならないとね」
「いいっていう世界なのね」
「それで足の引っ張り合いもね」
 それもというのだ。
「酷いらしいから」
「だからなのね」
「そうした人だから」
 川上、彼がというのだ。
「それでじゃないかしら」
「そうなのね」
「とにかく彼を好きな人はいないのね」
「家族もね」
「お子さん達もなの」
「孫もね、子兄弟姉妹や他の親戚の人達からも」
 それこそというのだ。
「誰からもね。お友達もいないし」
「大学の同期の人達は」
「皆近寄らないわ」
「本当に嫌われてるのね」
「こう言ったら何だけれど」
 早百合はやや俯いてこうも言った。
「早く死んで欲しいとね」
「沢山の人が思ってるのね」
「私の知ってる限りあの人を知っている人は」
 それこそとだ、早百合は友人にさらに話した。自分と同じ年齢の筈なのに随分と若く見えてイタリアの服とサングラスが目立っていて長い髪の毛が黒々とし
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