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雲に隠れた月は朧げに聖なる光を放つ
前章2 崩壊は肉体まで
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が起きた。


「すげえええ!」

「最高だー!」

「かっこいい!」

俺は苦笑しながら、観客に向かって手を振ろうとした。


‥‥‥‥振ろうとしたのだ。


全身から力が抜ける。視界はグラつく。

「ガハッ!?」


フロアパネルの上に俺は何かを吐き出した。目の前にあるのは、紅い、紅いナニカ。


口の中は、鉄の味で溢れている。鉄をそのまま食べたような感覚だ。


そのまま、前のめりに倒れた。会場が騒然とする。俺の周りに人だかりができた。さらに仰向けにさせられる。周りの人が何か言っているが、聴き取れない。


俺は薄っすらとしか見えない目で、何かを捉えた。セミロングの髪型、スレンダーなボディ。そして‥‥‥‥優しい瞳。


「ひじ‥‥‥‥‥り?」

俺は、聖のように見えたナニカに、手を伸ばした。


伸ばして



伸ばして



伸ばして



あと少しで触れられそうなところで






俺の意識は
















完全に途絶えたのだった
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