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雲に隠れた月は朧げに聖なる光を放つ
前章 復讐鬼
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バギッ!ドガッ!ボギュッ!

教室に殴打音が響く。

「グハッ!ぐっ、もうやめーー」

その言葉が最後まで紡がれることはなかった。顔面に深々と拳がめり込んだからだ。

「くそっ!誰か止めろ!」

数人がこちらに向かってくる。僕は椅子を持つ。そして一振り。数人はその場に倒れた。椅子を離す。ガシャンという音だけがやけに響く。教室のあちらこちらにあるのは血とクズ切れのように横たわるクラスメイトのみ。残るは‥‥‥‥一人。

僕はただ、ひたすらに一つのことを思う。そして口にする。

「死ね」

と‥‥‥‥。


現在、僕‥‥緋鷹 幸(ヒダカ コウ)は教室で暴れている。なぜこうなったのか。それをこれから話そうと思う。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「はあ‥‥今日も学校に行きたくないな‥‥‥」

朝六時。僕は起床し軽く勉強をする。勉強始めてから十分。溜息が何度出たことか。僕が溜息をつく理由は簡単だ。

「毎日イジメられるのは流石に堪えるな‥‥」

そう、僕は小学生六年間の間、ずっとイジメられているのだ。ちなみに僕は六年生である。

「最初は些細なものだったけど‥‥‥はぁ」

イジメられた理由は単純だった。人と違うスポーツをやってるから。それだけだった。まあ器械体操をやってる人はそうそういないから仕方がないのかもしれない。

「おっと‥‥もう七時か。ご飯食べないと」

僕はご飯を適当に済ませ、学校に行く準備をする。学校までだいたい十五分だ。

「はぁ、行ってきまーす」

僕は家を出た。マンションの三階に住んでいるので下に降りる。そのついでに僕は一階のある部屋に寄る。

インターホンを鳴らす。

「おーい、行くぞー」

『はーい、待っててねー』

透き通った声が聞こえる。すぐにパタパタと音がしてドアが開く。そこには‥‥‥‥。


僕の幼馴染であり最愛の人、雲月 聖(ウヅキ ヒジリ)が立っていた。整った顔、セミロングで少し茶色の髪、少しクリッとした目、モデルのようなスタイル。僕には勿体無いほどの女の子だ。しかも僕っ娘だったりする。

「ごめんね、行こうか」

「はいよ」

自然と手を繋ぎながら登校する。この時間は人がいないので、登校デートみたいなことができるのである。

「コウ、今日は練習あるの?」

「ん?あるけど‥‥それがどうしたのさ」

「うん、練習があるなら僕の部屋でご飯食べていかない?お母さんには言ってあるし、コウのお母さんにも連絡してくれてるから」

「それ断れないやつやん」

談笑しながらも登校する。学校に着いたので自然と手を離す。クラスは同じなので意味はないが、前述の通りイジメられているのでこのまま教室に入った
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