暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第1楽章〜覚醒の伴装者〜
第16節「任務の後は美味しいご飯」
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あら響ちゃん。いらっしゃい」
 店に入ると、おばちゃんはいつも通りの優しい笑顔で迎えてくれた。
 私の方を見て、おばちゃんはキョロキョロと誰かを探すように視線を動かした。
「あんまり沢山は食べないけど、美味しそうに食べる響ちゃんを見て楽しそうに笑っているいつものあの子は一緒じゃないのかい?」
「今日はちょっと、未来とは別の用事があったので……」
 そこへ、翔が戸を開けて入店する。
「いらっしゃい。おや、あまり見ない顔だね?」
「これはどうも、初めまして。風鳴翔です、よろしくお願いします」
「風鳴……もしかして、風鳴翼の弟さんか何かかい?」
「はい、翼は俺の姉にあたります」
「へぇ、言われてみるとお姉さんにそっくりねぇ」
 翔くんは戸を閉じると、そのまま私の隣の席に腰を下ろした。
 メニュー表を受け取ると、翔くんは一つずつじっくりとそれらと睨めっこし始める。
「小さい店ながらも、バリエーションに富んでるな……」
「翔くん、注文決まった?」
「立花はオススメとかあるのか?」
「私はね〜、やっぱりこれかな」
 翔くんのメニュー表を覗き込み、一番お気に入りのメニューを指さす。
 翔くんはそれを見ると、顎に手を添えて更に考え込む。
 すると、おばちゃんが唐突に呟いた。
「もしかして、響ちゃんの彼氏だったりするのかい?」
「「えっ!?」」
「だってほら、いつもは未来ちゃんと一緒なのに、今日は初めて男の子と一緒に来たわけじゃないか」
「そ、そんなわけないじゃないですかー。翔くんとはただの友達で……ねえ、翔くん?」
「そ、そうだな……。俺と立花は昔同じクラスだった程度の縁で、今週久し振りに会ったくらいですよ……」
 お互いに顔を見合わせて、いやいや、と手を振る。
 でも、どうしてだろう……なんだかちょっとだけ、顔が熱い気がする。
「ふ〜ん……まあ、未来ちゃんには内緒にしといてあげるよ」
 そう言うとおばちゃんは、何故かニヤっと笑いながらいつもの様に鉄板の方へと向き直った。
「それで、注文は?」
 おばちゃんに催促され、私達はそれぞれ自分の注文を伝える。
「私はいつもの、キャベツ大盛りで!」
「焼き蕎麦入り、頼みます!」
「はいよ」
 注文を受けたおばちゃんは、直ぐに調理に取り掛かった。
 
 翔くんが私の彼氏かぁ……。
 何でだろ。その一言が頭の中でグルグル回って……胸がとってもドキドキする……。
 
『立花、手を貸してくれるか?』
 
 今朝の、ちょっとかっこよかった翔くんの顔が浮かんで……。
 
『君の手には、奴らを一撃で倒せるだけの……誰かを守る為の力があるんだからな』
 
 頼もしい励ましが響いて……。
 
『だから!せめて俺の前では、自分に素直な立花響で居てくれ……』

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