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恋人はラガーマン
第三章

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 美来は磯崎に家まで送ってもらった、このことは毎日のことで美来は彼とよい交際を続けていた。だが。
 その中でだ、ふとだった。
 美来は磯崎にこの日も家まで送ってもらっている中で彼に言った。
「私小さいですけれど」
「背がだね」
「はい、一四八センチで」
 尚磯崎は一九七である。ほの二メートルと言っていい。
「若しかして肩に担げるとか」
「ははは、それはね」
「幾ら何でもですか」
「難しいだろうね」
「やっぱりそうですよね」
「身長差があっても」
 それが五十センチ近くであってもというのだ。
「流石にね」
「難しいですね」
「うん、まあ僕は一二〇あるけれどね」
 磯崎は体重の話をした。
「それでもね」
「私四十キロですね」
「女の子で体重のことを言うのは」
「私は別に」
 美来個人としてはというのだ。
「こだわりないので」
「だからだね」
「はい、お話できます。特に磯崎さんには」
「僕なら余計になんだ」
「はい」
 こう磯崎に言うのだった。
「このことは」
「そうなんだ」
「そしてです」
 美来はさらに言った。
「体重差は三倍でもですね」
「やっぱりね」
「肩に担ぐことはですね」
「難しいね、それに何よりも」
 磯崎は笑って話した。
「肩は不安定だからね」
「不安定っていいますと」
「人が座るにはね、形的にね」
 磯崎は夕暮れの道を美来と共に歩きつつ話した。
「だからね」
「肩に担ぐことはですか」
「僕はしないんだ」
「そうなんですか」
「危ないからね」
「私が危ないですか」
「そう、しないよ」
 絶対にという返事だった。
「それで美来ちゃんに何かあると危ないからね」
「だからですか」
「僕はしないよ」
「私小さいから」
 美来はこのことから言ったのだった、それでさらに言うのだった。
「ひょっとしてって」
「それでもだよ」
「危ないことはですね」
「最初からしない」
 磯崎は真面目な声で言った。
「それが大事だからね」
「だからですね」
「僕は美来ちゃんが言ってもね」
 肩に担いで欲しいと、というのだ。
「しないよ」
「そうですか、わかりました」
「そういうことでね」
「それじゃあ」
「お家まで帰ろうね」
 磯崎は美来に優しい声で言った、そして実際に彼女を家まで送った。
 磯崎と一緒にいるとだった、美来は確かに安全だった。大柄でしかも逞しい身体つきをしている彼を見るとだった。
 その辺りのチンピラどころかヤクザ屋さんですら美来に近寄ろうとしない、それで美来は学校で言うのだった。
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