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草魚
第二章
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「川魚はほんまにな」
「食べんか」
「鯉もな、そやからな」
「わしもやな」
「今食べられること知ったし」
 それにというのでした。
「食べるつもりもない、ほなな」
「今からやな」
「その水槽に入れてな」
「淀川までやな」
「送ってくれるか」
「わかったわ、何でお魚が喋られるかわからんけど」
「そらわしが長生きしてるからや」
 だからだとです、草魚は良太郎に答えました。
「そやからや」
「そやねんな」
「草魚は長生きやけどわしはもう百年生きてる」
「お魚も百年生きたらな」
 それだけ生きればとです、良太郎も草魚のお話を聞いて思いました。
「喋られる様になるんやな」
「そういうことや」
「そのこともわかったわ、ほなな」
「今からやな」
「水槽の中に入るんや」
 こう言ってです、良太郎は水槽の蓋を開けてでした。
 お池の中に入れてお水が入る様にしますと草魚はその中に自分から入りました、草魚は一メートル位あってです。
 良太郎が持ってきた大きな水槽にもやっと入る位でした、それで良太郎は水槽に蓋をしてから驚いて言いました。
「まさかな」
「わしは大きいやろ」
「草魚ってこんなに大きいんやな」
「大きな鯉位あるわ」
 その大きさはというのです。
「見ての通りな」
「そやねんな」
「それでや」
「今からやな」
「そや、淀川に連れて行ってくれるか」
「約束したしな」
 それならとです、良太郎は草魚の言葉に頷いてでした。
 自分がお家からお池に行くまでに乗っていた自転車の後ろに水槽を縛ってでした、自転車に乗って淀川に向かって出発しましたが。
 自転車を運転しながら後ろの水槽の中にいる草魚にこんなことを言いました。
「ここから淀川までな」
「結構距離あるな」
「それは知ってるんやな」
「そや、わしは元々淀川におったしな」
 それで知っているというのです。
「知ってるわ」
「何で淀川からあのお池に行ってん」
「淀川から別の川に入ってな」
「それであのお池に行ったんやな」
「行きはな、けれど行ったはええけど」
 それでもというのです。
「帰り道がわからんで暫く困ってたんや」
「あのお池におってか」
「餌はあったけどな」
 それでもというのです。
「帰るに帰られん様になってや」
「そこで僕が釣りしてるのを見てか」
「声をかけたんや」
 そうだったというのです。
「そうやったんや」
「成程な」
「それでここからな」
「淀川に戻るんやな」
「自分で送ってもらってな、まああのお池も快適やったけどな」
「ほなずっとおったらええやろ」
「そのことは後で話すわ」
 その時にと言ってです、草魚は良太郎が運転する自転車の後ろに頑丈に縛られている水槽の中にいながらです。
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