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聖国のジルフリーデ 〜勇ましき姫と気高き女騎士と、男勝りな女戦士と妖艶な女盗賊は、媚薬の罠に乱れ喘ぎよがり狂うも、心だけは屈しない〜
番外編 凛々しき女王は、己の全てを受け入れる
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免れ、事なきを得たのだが――今回の件を受け、今後の水浴びはラフィノヴァが同伴することになっている。

 この件は本来なら、重大な国際問題に発展するような事態……なのだが。
 聖国も敗戦国である王国に与していた敵性国家と看做されており、帝国が主導権を握るこの大陸内においては低い立場にあったため、本件を巡る賠償金は最低限の額に止まっていた。戦争になろうものなら一瞬で制圧されてしまう国力の差がある以上、聖国も迂闊に帝国を糾弾できないのである。

 しかし、その代わり。かつて聖国を支配していたアンジャルノンを、女王ジルフリーデが一対一で成敗したという「吉報」が、国中に齎されていた。

 聖国の人々にとっては、無慈悲な暴力の象徴であったアンジャルノンが、女王の手により倒された。それは帝国勇者復活という不穏な噂を払拭するほどの朗報となり、民衆に希望の大火を灯したのである。

 やがて。この件を通じて、ますます国民の信頼を集めるようになったジルフリーデは――その生涯を終えるまで。
 凛々しき女王として気高く生き続けたのだと、伝えられている。

 ◇

 ――そして、晩年。彼女は長年に渡り、傍で仕え続けていたラフィノヴァにだけ。屈辱の過去に纏わる思いを、語っていたのだという。

 これまで出会って来た人々の中で、「彼」ほど1人の人間として小さい(・・・)男はいなかった、と――。

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