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恵王の失態
第二章

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「王の政の在り方は」
「徳を説くまでもないというのか」
「はい、今魏は韓と趙、斉、秦、宋の五国と戦っています」
「勝ち続けているな」
「ですがそれがです」
「よくないというのか」
「多くの国を攻めるよりも一旦守り」
 そうしてというのだ。
「民を休め力をよりつけるべきです」
「そうせよというのか」
「はい、戦が多くなれば」
 今の魏の様にというのだ。
「その分国も民も疲れるので」
「よくないというのか」
「そうです、私は戦は好きではありませぬ」
 その酷さを知っているからだ、孟子はかつて戦の酷さを国を挙げて人肉を喰らうとはこのことだとまで言っている。
 それでだ、今もこう言うのだ。
「どうしても、ですが戦をされるなら」
「それならか」
「相手を搾り」
 戦をするそれをというのだ。
「されるべきです、敵が多く戦が多くなれば」
「よくないというか」
「どうしても、ですから」
「出来る限り戦はせず民を国を休めか」
「疲れさせず相手は搾るべきです」
「多くの国と和すべきというか」
「そうです」
「馬鹿なことを、我が魏は強く戦に勝ち続けている」
 王は孟子にこのことから話した。
「それならだ」
「これからもですか」
「勝ち続ける軍勢を置いておくしだ」
 それにというのです。
「周りの国は全て倒しやがては」
「滅ぼしてですか」
「余は天子となるのだ」
「周朝も退け」
「その通りだ」
「そうですか、徳がなくなればです」
 ここで孟子は王に持論を述べた。
「その王朝はです」
「徳のある王朝に代わられるべきだな」
「天下万民の為に」
 孟子はこのことも毅然として述べた。
「そうあるべきです」
「そうだな、ならばな」
「ですが王、そして魏はです」
「天子になれぬというのか」
「これは徳の問題ではなくです」
 孟子が掲げるそれではないというのだ。
「王のご政道がです」
「天子になれぬか」
「そうしたものであります」
「ふん、戦に勝てば最後はだ」
「私はもう申し上げましたので」
 それ以上は言わないとだ、孟子は王に言ってそのうえでその前を退いた、そして王はそれからも戦を続けたが。
 戦が続き民も国も疲れてきていた、だが王は戦を続けた。
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