第二章 二度目の初戦
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鳴り声を張り上げながらがくがくがくがく首を激しく揺らした。
「すっ、すいやせんでしたあ! ……怒ると怖いな、お前」
「あ、いや、あの、こっちこそすみませんっ! 眠気でテンションが安定してないだけですので、きっとすぐに戻りま……あいたああっ!」
何があいたあかというと、なんのことはない、ふらついて足をもつれさせフェンスのに側頭部をゴツッと強打したのである。運悪く、一番痛そうな柱部分に。
「うぎいいいいい」涙目で頭を押さえてしゃがみ込むアサキ、「眠気覚めたあああああ……」
「よかったじゃん」
カズミはおかしそうにははっと笑った。
「よくないんですけどお」
「とにかく、そのクラフトのパワーで魔道着に変身して戦うのが、あたしたち魔法使いってわけだ」
「はい」
アサキは頭を押さえたまま、よろよろ立ち上がった。
「着るだけでなく、使いこなさないとヴァイスタには勝てねえ。昨夜、戦ってみて分かったろ? ちょっとやそっとの攻撃なんか通じねえ、再生しちまうんだ。身体がアンドレ・ザ・ジャイアントみたいにバカでけえから、腕力もとんでもねえしさあ。ほんと、怪物だよ」
「はい。どうやっても倒せなくて、治奈ちゃんの槍がなかったらどうなっていたか。……ところでアンドウジャイアントってなんですかあ」
なんとなく気になって、尋ねた。
「大昔のプロレスラーだよ」
「強かったの?」
「身体がとてつもなくデカくて、横もガッシリしてるから、何をどうやっても倒せねえんだよ」
「いつ頃の人?」
「昭和だよ」
「テレビが白黒だった頃?」
「たぶん、カラーだと思うけど……」
「ジャイアントって本名?」
「いや、リングネームに決ま……別にあたしアンドレ・ザ・ジャイアントの話したいわけじゃねえんだよ!」
ボガン!
突然声を荒らげるとカズミは、アサキの側頭部を思い切り殴り付けた。
「あいたあっ! さっきぶつけたとこっ!」
「うるせえええええ! アンドレといえばあネックハンギーーーーングッ!」
カズミは叫びながらアサキの首を両手で掴み、ぐいぐい締めながら怪力で持ち上げた。
ネックハンギングツリー。
プロレス技である。
パワー系レスラーが得意技にしていることが多く、ハングマンズホールド、ネックハンギングボムなどの派生技がある。
本来は締めるのは反則であるし、締めずとも持ち上げられた者の自重により頸部が圧迫されるためただ怪力でもって持ち上げるというだけで非常に危険な技である。
しかし今はプロレスの試合をしているわけでもなんでもなく、カズミは持ち上げつつ平気でぐいぐいと締め上げている。まるで悪魔である。
「ぐっぐるじいいいいい」
振りほどこうともがくアサキ
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