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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
奴隷宣告
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したその黒影は、傲岸に告ぐ。


「彩斗──アタシのドレイになりなさいっ!」


ここに生まれた静寂が一刹那だったのか、或いは十数秒だったのかは、この語感にやられてしまって覚えていない。けれどもその語感にあてられて、朦朧としているのだけは分かった。
──そんな感覚を期せずして打破したのは、彼だった。


「……何してるんだ、お前ら」


呆然と驚愕の入り混じったキンジの声色が、リビングの入口から聞こえてきた。慌てて振り返ると、何やら腫れ物に触ったような罪悪感に苛まれた顔をしている。目は勿論、笑っていなかった。


「あの、これはだね──」
「……悪い、これからお楽しみのところを邪魔したな。んじゃ、1時間後くらいにまた来ればいいか?」
「君は何を深読みしたんだ。そうじゃないって。しかも随分と生々しい時間設定にしてくれたねぇ」


とにかく──と付け加えて、アリアに視線を寄越す。


「……ちゃんと説明してもらうからね。どういう意味か」
「どういう意味、って……そのまんまの意味よ」
「それが理解できないって言ってるんだろう」


「……鈍いわねぇ」と呟いたアリアは、躊躇なくソファーに腰を下ろした。『話してあげるからこっちに来なさい』とでも言うように、その隣を手で軽く叩いている。そうして更に口を開いた。


「ねぇ、コーヒー飲みたい。エスプレッソ・ルンゴ・ドッピオ。砂糖はカンナが良いわ」
「……何それ。そんな名前のコーヒーは我が家には無いよ」
「いいから出しなさい。喉が乾いたの!」


エスプレッソ・ルンゴ・ドッピオ──エスプレッソは辛うじて分かるけど、その他は分からない。コーヒー豆の銘柄かしら。よく分からないし、アリアも取り敢えずコーヒを出せということなので、キンジにコーヒーを淹れてもらうように頼んだ。インスタントコーヒーでいいよね。
面倒臭そうな顔をしているキンジを横目に、アリアの隣に腰を掛ける。背後にお湯を沸かしている音を受けながら、その幼い容貌をした少女の、その赤紫色の瞳を見据えてやった。


「……で、ドレイってどういうこと。ちゃんと説明して」
「強襲科でアタシと一緒のパーティーに入りなさい。それで武偵活動をするの。難しい話じゃないでしょ?」
「そんなこと? 別にそれくらいならしてもいいよ」


自分にとっては、本当に何気ない一言だった。去年まで強襲科にキンジは居たけれど『気が変わった』と探偵科に移動してしまったこともあって、今は強襲科に対する関心が薄れてきている時期にあったのを、自分自身で自覚していたから。

だからこうして、アリアから強襲科での活動を誘いに来るというこの話は、これといって断る理由が見当たらない。それでもアリアにとってはこの一言が非
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