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昆明の警官達 
第六章

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「星のモン、政府のモンとして受けたから」
「それで、ですか」
「それはええで」
「そうですか」
「ああ、ほなこれでな」
 昆明を出ると言ってだ、実際にだった。
 緑麗は紅美と共に街を出ることにした、その時にだ。
 交番にいて街をパトロールし交通違反や泥棒に向かっている警官達を見て緑麗は目を細めて共にいる紅美に言った。
「お巡りさん達がしっかりしてくれてるとな」
「それだけで安心出来るな」
「そや、これからも頑張って欲しいな」
「ほんまにな」
「街を出る時にええもん見られたわ」
 緑麗は笑顔でこうも言った、そして。
 ここでその手にあるものが宿った、それは何かというと。
「うちの心の中で話してくれてるわ」
「何てや?」
「これは新しい神具の梁紅玉の鎧や」
「あの巾角英雄のな」
 中国では女の戦う者、軍人や豪傑をこう呼ぶのだ。
「それかいな」
「そや、あの英雄の鎧をな」
 中国宋代の名将韓世忠の妻であり彼と共に金と戦った女将軍だ、元は伎女だったがその武勇と采配はまさに名将のそれであった。
「私は授かったわ」
「それはよかったな」
「ああ、どんな武器も術も防いでくれる」
「そんな立派な鎧やな」
「そや、そして私自身」
 緑麗はさらに言った。
「神託を乗り越えて」
「それでやな」
「全体的に一回り強うなったら」
 心の中で言ってくる声に教えられているだけでなく自分自身も感じていた、このことを。
「そうなったわ」
「それは何よりやな」
「ああ、ほなな働いてるお巡りさんも見たし」
「それで気分もよくなったし」
「この新たな力で世界を救う為に」
 まさにその為にと言うのだった。
「次の場所に行こうな」
「そうしよな」
「ああ、今からな」
 緑麗は紅美に明るい顔で言った、そうしてそのうえで新たに一歩を踏み出した。その一歩はこれまでの一歩よりも強いものだった。


昆明の警官達   完


                  2019・5・18
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