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足を洗った後で
第六章
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「今は」
「今のお父さん?」
「はい、どんな人ですか?」
「怒ると凄い怖いけれど」
 それでもとだ、男の子は鈴子に話しはじめた。
「普段はとても優しくて朝から夜まで真面目に働いてお母さんもお店の人もお客さん達からも好かれていて」
「とてもいい人ですね」
「最高のお父さんだよ」
「そうです、人は過去は絶対ですが」
 鈴子は男の子にもこのことを話した。
「過去のことはどう思うかは変わり一番大事なことは今です」
「今なんだ」
「今その人がどうかです」
 このことは一番大事だというのだ。
「貴方のお父さんが今とてもいい人ならです」
「昔凄く悪いヤクザ屋さんだったけれど」
「それは関係ないのです」
「そうなんだ」
「ですから」
 それ故にというのだ。
「今をご覧になって下さい」
「お父さんのことは」
「ヤクザ屋さんだったとしても」
「今のお父さんが凄くいい人だから」
「それでいいのです」
「そうなんだ」
「はい、では今からお父さんのとこに戻りましょう」
 これ以上はないまでに優しい声でだった、鈴子は男の子に話した。そうしてそのうえでだった。
 雅と共に男の子を連れて居酒屋に戻り主とその妻の前に男の子を会わせた、親子は純粋な笑顔で抱き合いそこには一切の言葉は不要だった。
 堀内組の面々は鈴子が連絡した結果縛られたまま警察に突き出され皆厳罰に処された、中には魂まで消された者もいて残りの面々も強制労働の為に炭鉱や過酷な開拓地に送られ一切の人権を剥奪されたうえで消耗品として扱われることになった、大罪人に一切の人権は不要ということだ。
 男の子を無事救出しヤクザ者達も始末した二人には主と役所からそれぞれ報酬が出た、二人は素性を隠す為にも冒険者としてそうしたものを受け取った。
 そうしてからだ、佐和山を後にしたが。
 佐和山を出たところで鈴子の右手にあるものが宿った、それは何かというと。
「大天狗の錫杖です」
「天狗のですか」
「はい、かなり強力な武器ですね」
「霊的な力まで備えていますか」
「心の中でそう告げられています」
 鈴子は雅その声を聞きつつ答えた。
「神託の試練を乗り越えた結果として」
「あの男の子を助け出したことが」
「そうだったのですね、そして」
「力もですね」
「私の中のそれも強くなっていることも感じています」
「試練を乗り越えて」
「はい、では」
 鈴子は雅に微笑んであらためて声をかけた。
「次の場所に向かいましょう」
「そうですね、それでは」
「この世界を救う為に」
 二人で笑顔で話してだ、そうしてだった。
 鈴子は雅と共に二人が次に行くべき場所に足を進めた、佐和山での試練を終えたが星の者達のやsるべきことはまだ残っているが故に。


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