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渦巻く滄海 紅き空 【下】
十九 開演のブザーが鳴る
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我に返った瞬間、ナルの瞳に飛び込んできたのは我愛羅の遺体だった。


「──我愛羅!」

ガバリと起き上がったナルに、傍らにいたカカシは一瞬驚いたものの、ほっと安堵する。
九尾の力で暴走していた彼女が正気に戻ったのを見て取って「…落ち着いたか?」と訊ねると、ナルは眼を大きく瞬かせて、周囲をきょろきょろと見渡した。

自分がなぎ倒したのであろう大木や砕かれた岩を見て、苦渋の表情を浮かべる。青褪めるナルを気遣わしげに見ていたカカシは、ピクリと片眉を吊り上げた。

誰かが来る気配を感じ取って身構えたカカシは、駆け寄った相手の姿を認めると、構えを解く。





「よかった…!ナルもカカシ先生も無事みたいね!」

いのとチヨの姿を眼にして、ナルの肩から力が抜けた。ほっと安心した彼女同様、カカシも胸を撫で下ろす。


サソリと戦闘していた二人が此処にいる。その事から導き出される答えはひとつしかない。
いのとチヨによってサソリは倒されたのだろう。



まさかナルトによって取り逃がしてしまったとは思いも寄らず、カカシは「よく此処がわかったな」と感心する。

その言葉に、曖昧な表情でいのは苦笑を返した。
ナルとカカシの居場所までこんなにも早く辿り着けた理由は、サソリと共にいた謎の人物の助言によるものだからだ。




「……我愛羅はどこじゃ?」

チヨの問いに、ナルは眼を伏せる。
いのに解毒薬を打ってもらったものの、サソリの毒で体力を消耗しているチヨは、疲労が滲んだ顔で周囲を見渡した。横たわる我愛羅の遺体が目に留まる。




はっといのが息を呑んだ。
沈痛な面持ちのカカシと、唇を強く噛み締めるナルを見て、チヨは一度、瞳を固く閉ざす。


次に眼を開けた時には、チヨの瞳には決意の色が宿っていた。

































「なにが人柱力だ…!!なにが…!!」


ナルの視線が痛い。一目見てわかっていたけれど、動いていない心臓を前に、いのは顔を逸らす。


森の外れの広い原っぱ。
視界が悪い森よりも四方を見渡せる場所のほうが良いかと考え、そこに移動した一行は、我愛羅を中心に佇んでいた。


皆の注目の的である我愛羅本人は、ぴくりとも動かない。
ナルに頼まれて診てみたけれど、やはり変わらぬ現実に、空気が沈む。

清々しい風が吹き抜ける場所なのに、我愛羅と、彼を囲む者達の間では悲しみに満ちていた。白い蝶だけが空気を物ともせず、優雅に飛んでいる。



「風影になったばっかだぞ…!なのに……っ、なんで我愛羅ばっかがこんな目に…!」


同じ人柱
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