第4話 イゼルローン前哨戦
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俺は傍らにいるミュラーに話しかける。
「また反乱軍がイゼルローン要塞に仕掛けてくるんだってさ。敵の司令官……何て言ったっけ? ロ…ロボ……あ〜もういいやブタで。ブタの分際で俺の睡眠時間を削ろうなんて良い御身分だよね。ちょっとお灸を据えてやらんとな」
反乱軍の出兵でせっかくの自堕落生活に終止符が打たれたんだ。
愚痴の一つや二つ言いたくもなる。
「ですが、反乱軍に『眠いから今度にしてくれ』と言っても聞いてはもらえないでしょう」
「だよね〜。あ〜眠い、メンドイ」
「しかし、反乱軍には何らかの勝算があるのでしょうか?」
「まあ、態々来るから何らかの勝算はあるだろうさ。もっとも、それが理に適ったものなのか、単なる願望・妄想の類なのかどうかは知らんがな。それに、前回使用された並行追撃作戦――意図的に混戦状態に持ち込もうとする方法も場合によっては使ってくるだろうし、油断は禁物だな」
「確かに、しかしその状態で言われても説得力がないかと」
俺の今の状態は、目にアイマスクをかけ机にうつ伏せになってる状態だ。
確かに「油断禁物」とか言っても説得力はないな。
* * *
10月から11月にかけて、イゼルローン回廊の同盟側出入り口付近の宙域で制宙権を確保するための小規模な戦闘が連続して行われた。
戦闘は50隻から3000隻ほどの単位で立方体に区切った数千の宙域を一つ一つ争奪する形で展開した。
ラインハルトは20回以上も出撃し、狩猟でも楽しむかのようにその手腕を遺憾なく発揮している。
俺も20回近く出撃し、その全てに勝利している。
もちろん、その成功にはミュラーの助力があったからに他ならない。
俺一人ではここまでの戦果は出せなかったはずだ。
……ていうか9割以上はミュラーの功績。
しかし、1000隻単位の艦隊の戦果は大局からすれば微々たるものでしかない。
帝国軍上層部ではそれほど評価してくれんだろう。
「敵艦隊発見。数、およそ1000」
「こちらの3分の1か……なら、力押しで十分だな。戦いは数なのだよ」
この兵力差なら下手な小細工は必要ない。
正面から数で圧倒するのみだ。
「全艦、砲撃開始!」
敵艦隊は不利を悟って退却しようとするが、そう簡単に逃がしてやる義理はない。
たちまち最後部が火線に捉えられ、後ろから順に仕留められていく。
結果的に、逃げ切ることができた同盟軍の艦艇は300隻程度だった。
「まあ、こんなものか。これで20勝目だな」
このとき、俺は少し浮かれていた。
そして、この時すでに原作からの大きな乖離が出てきていることに気づかなかった。
同盟軍にとっての『小賢しい敵』が2人になっていたことに。
*
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