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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
28話:遊覧
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ルト様がご覧になられたらさぞかしお喜びになられただろう。気持ちを落ち着かせるようにお茶を飲むと、愛孫のザイトリッツがこちらにやってくるのが見えた。

「おばあ様、視察のご感想は如何ですか?全ての建設資材はRC社が調達した物。もちろんルントシュテット領で産出されたものも使われております。」

楽しそうに、誇らしそうに声をかけてきた。そんな態度をされたら褒める事しかできなくなる。本当はもう少し帰省の回数を増やすように言いたいところでしたのに。

「確かに素晴らしかったわ。軍事に疎い私でも、何やら感じるものがありましたから。」

「ケーフェンヒラー男爵たちも同じようなことを申しておりました。私はすこし見慣れてしまった部分がございますが、おばあ様にこのタイミングで視察頂けて良かったと思います。」

タイミングという部分がよく理解できなかったので確認すると、要塞はこれから完成に向けて内装が本格的に施工されるので、要塞の外郭も見えて重要施設が気密前のこのタイミングが一番迫力があるし、視察もしやすいとのことだった。確かに完成してしまえば、人口天体とはいえ中身は地上施設と特段違いは無いだろう。見どころがあるタイミングだったという事だ。

「後学のために、一応映像は残しているんですよ。あと1機無人の偵察衛星を近距離に配置して定点映像も撮影しているんです。起工から完工まで早回しにしたら面白いかと思いまして。」

孫は相変わらず突拍子のない事を考えている様だ。ただ、そう見えても効果があったり、意味があることがほとんどだ。なにか考えがあっての事なのだろう。

ザイトリッツが士官学校に在籍したままアムリッツァ星域で要塞建設の資材調達にあたるという話を聞いた時、息子のニクラウスには事情を問い詰めたが、必要なのですとしか言わなかった。その際は納得できなかったが、ザイトリッツには先見の明のようなものと、天性の事業遂行力がある。RC社としてこれだけの事業の一翼を担うにはこの子が現場にいる必要があったのだろう。ただ、せめて士官学校卒業までは手元に置いておきたかったのも事実だ。

「ザイトリッツ、確かに素晴らしい事業なのは理解しましたが、祖母に寂しい思いをさせないのも大事なお役目であることは忘れてはなりませんよ。」

思わず本音が出てしまったが

「心得ております。私もおばあ様と晩餐をご一緒したいですから。そろそろ準備が整うはずです。晩餐室に参りましょう。」

とエスコートしてくれた。子供のころから女性の扱いもなぜか上手かったけれど、こんな形で成長を実感するのも悪くない。私たちは晩餐室へ足を向けた。
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