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渦巻く滄海 紅き空 【下】
十五 始まりの傀儡
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「チッ…!ちょこまかと…っ」


巨大な扇を翻す。


扇の動きを見て取って、デイダラは素早く幹を蹴った。途端、寸前まで自分が立っていた大木が、ずずん…と地を揺らして倒れゆく。
スパッと綺麗な切り口を残して切り刻む烈風に、デイダラは眉間に皺を寄せた。



(このままじゃ、隠れる場所が無くなんぜ…うん)


森中の木々を全て切り落とす勢いの風を操るテマリ。
攫った人柱力である我愛羅と同じ砂忍らしい彼女の攻撃に、デイダラは辟易していた。そのまま視線を、テマリの隣の存在へ移行させる。


(まぁその前に…あの眼の前じゃ、隠れようにも隠れられないんだがな…うん)

写輪眼と並び、木ノ葉に伝わる【白眼】。
どんなに隠れようと身を潜めようと、この眼の前では全てを看破される。



「さて、どうすっか…」

風の猛攻をのらりくらりとかわしながら、頭を悩ますデイダラの傍を何かが通る。
我愛羅とカカシによって失った両腕の代わりに、ひらひらと風にたなびく『暁』の外套。

黒衣に映えるその白に眼を留めて、デイダラはハッ、と辺りを見渡す。





ひらひらと、自身を先導するかのような蝶。

どこかで見たことのあるその白に、デイダラは視線を周囲に這わせた。


(……近くにいんのか…?───ナル坊)































ぽたり。


ぽたり、と血が滴り落ちる。
暗紅色と紫紺色が雑ざり合い、黒々とした赤紫色の液体が、度重なる戦闘で罅割れている地面に滴下した。



三代目風影を正面から襲わせ、傀儡化した自身のワイヤーで後方から攻撃する。
己自身と傀儡人形を同時に使ったサソリは、いのに駆け寄ったチヨを冷酷に見下ろした。


いのの肩口から溢れる血と紫紺色の毒。

眼を見張るチヨに、サソリは冷酷に真実を告げる。



「もう気づいていると思うが…このワイヤーにも毒が塗り込ませている」


カンクロウを戦闘不能に陥らせた毒。

それを己の腹部から伸びるワイヤーにも、そして背中の刃物にも、それどころか全身の武器に仕込ませているサソリは、間髪を容れずに指を動かす。

鍵盤を滑らかに躍らせるかのような指の動き。その動きに従い、三代目風影が身体の向きを変えた。



「毒煙を回避したつもりだったろうが、残念だったな…小娘はもう動けまい。あとは婆…てめぇだ」


俺の毒を喰らったヤツの末路は知っているだろう?と、サソリは冷ややかな眼差しでチヨを見下ろす。



じわじ
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