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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第三部 原作変容
序章 新朝始歌
第二十七話 豪王末路
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絶大だったと思っていたところ、いきなり鉄鎖を引きちぎられかけ、すぐさまより強力な新しい鎖に交換することになった。それで不審に思って周囲をよくよく調べてみると、実はそのときの食事を口にしてはおらず全て排水溝に捨てていた事が判明した、ということすらあったという。業を煮やした拷問吏たちは、毒性が強すぎて調合作業にすら危険が伴う毒物を何人もの奴隷を犠牲にしてようやく作り上げたのだが、それが唯一見破られることなくアンドラゴラスが摂取し、功を奏したものとなったという。

なるほど、よく判った。では手筈を整えるとしようか。

◇◇

どうやら奴らは本気で予、アンドラゴラス三世を殺しにかかってきたらしい。先日からの拷問は今までに増して熾烈を極めた。それまでの拷問は激しいながらもこれで殺す訳にはいかないとの配慮が見え隠れしていた。手当は行き届いたものでは無かったが命にかかわる傷は最低限の処置を施されてはいたし、硬い石床の上ではあっても睡眠はそれなりに取れていたし、王者として酒食をほしいままにしていた身には甚だ物足りないながらも食事の栄養は充分だった。しかし、先日からは全く手当がなされず、眠りはしばしば妨げられ、食事は質も量も最悪を極めた。

いや、たった今最悪が更新された。待て、何だその血の色より更に赤い、香辛料だらけのスープは。痛い、臭いだけで鼻が痛い!いや、鼻だけではない、喉が、目が、全ての粘膜が猛烈に痛い。嘘だろう?それを喰えというのか?断る!断固拒否する!くっ、こいつら拷問吏総出で押さえ付けに来おった。鼻までもが塞がれた、呼吸が出来ぬ。そう思って口を開けた瞬間に一気に流し込まれた。顎までもが固定され、口を閉じることすら許されぬ。たちまち舌が、口全体が、喉が、肺が、胃の腑が焼けた。全身から汗が吹き出し、体中が熱くて堪らぬ。衝撃が鼻を、目を、脳までを突き抜けていた。

悶絶し、転げ回っていると、目の前にコップが差し出された。中身は白湯のようだ。何だ、気が利くではないか。予は一気にそれを飲み干した。物足りないとすら思ったくらいだった。が、たちまちにして己の失敗を悟った。

先程のスープは罠であり、ただの前座だったのだ。おそらく味覚と嗅覚を破壊し、警戒心すら奪うための、準備段階に過ぎなかった。その後の白湯こそが本命の猛毒だったのだ。それを予は無警戒に飲み干してしまった。いや、飲み干さざるを得なくされた。奴らが余りにも巧妙で、狡猾だったのだ。

爛れた。舌も、喉も、肺も、胃の腑も。焼けたと思ったものが、今度は爛れた。血痰が、力なく開いたままの口の端からこぼれ出た。胃の内容物を全て吐き出そうとして、喉に灼熱感を覚え、反射的に堪えてしまう。先程あれだけ辛さに苦しみ、ようやく喉元を過ぎたというのに、あの苦しみをまた味わいたいはずがなかった。だが、今度は震え
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