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デート・ア・ライブ〜崇宮暁夜の物語〜
デートの誘い
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ら、一回くらい壊しちゃっても大丈夫ってことでしょ。 −−にしても予想外ね。 士道(一般人)がいるのは知っているはずなのに、こんな強攻策に出てくるなんて』

と、そこで、士道は顔を上に向けた。

『プリンセス』が、先ほど士道に対していたときとはまるで違う表情をして、ボロボロになった窓の外に視線を放っていた。 無論、彼女には銃弾はおろか、窓ガラスの破片すら触れてはいない。 だけれどその顔は、ひどく痛ましく歪んでいた。

「−−−十香ッ!」

思わず、士道は名を持たぬ『プリンセス』の為に与えたその名を呼んでいた。

「・・・っ」

ハッとした様子で、十香が視線を、外から士道に移してくる。 未だ凄まじい銃声は響いていたが、二年四組の教室への攻撃は一旦止んでいた。 外に気を張りながらも身を起こす。 と、十香が悲しげに目を伏せた。

「早く逃げろ、シドー。 私と一緒にいては、あいつらに討たれることになるぞ」

「・・・」

士道は、無言で唾液を飲み込んだ。 確かに、逃げなければならないのだろう。

だけれど−−

『選択肢は二つよ。 逃げるか、とどまるか』

琴里の声が聞こえてくる。 士道はしばしの逡巡の後、

「・・・逃げられるかよ、こんなところで・・・ッ」

押し殺した声で、そう言った。

『馬鹿ね』

「・・・なんとでも言え」

『褒めてるのよ。−−素敵なアドバイスをあげる。 死にたくなかったら、できるだけ精霊の近くにいなさい』

「・・・おう」

士道は唇を真一文字に結ぶと、十香の足元に座り込んだ。

「は−−?」

十香が、目を見開く。

「何をしている? 早く−−」

「知ったことか・・・っ! 今は俺とのお話しタイムだろ。 あんなもん、気にすんな。 −−この世界の情報欲しいんだろ? 俺に答えられることならなんでも答えてやる」

「・・・・・!」

十香は一瞬驚いた顔を作ってから、士道の向かいに座り込んだ。

?

銃火器類により発せられるけたましい音が未だに鳴り響く来禅高校の廊下。来禅高校の制服に身を包んだ暁夜は、右の手の平を壁につけ、痛む身体を支えながら歩いていた。手元に愛剣の《アロンダイト》は無いため、擬似天神の力で肉体損傷に対する抑制能力も治癒能力も発動できない。特殊な端末『擬似記憶装置(ムネモシュネ)』による随意領域(テリトリー)展開も利用時間を超えた為、使用出来ない。要するにジリ貧丸腰。

「・・・相変わらず、中途半端のモンばっかりだ」

暁夜はそう毒づきながら、二年四組の教室へと向かう。数分前に、燎子とのインカム越しでの会話の内容によれば、折紙が少し前に校舎裏に向かったという知らせを聞いたが、恐らく行き違いになっただろう。
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