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人徳?いいえモフ徳です。
十三匹め
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る気だ!」

「きゅぅ!」

シラヌイはプイッと顔を背けた。

「あぁ…もう…」

パリパリと氷を剥がしたあとのボーデンの腹は赤くなっていた。

ボーデンはソファーから立ち、戸棚から小瓶を取り出した。

中身は薄い赤で、仄かに光る液体だった。

中身を少し出して手に馴染ませ、患部へ塗る。

「おぉ…きくぅ…」

塗られた場所の赤みが急速に薄れる。

「きゅー?」

「ああ、これか?」

振り返ったボーデンがちゃぷちゃぷと小瓶の中身を揺らす。

「100倍希釈のエリクシールだ。ポーション変わりに丁度いいんだぜ」

「きゅぅ!?」

驚いた声を上げるシラヌイにボーデンが返答した。

「だって普通のポーションだと用途別でやんねぇといけねぇからよ。
だったらまだエリクシール作って薄めた方が楽って訳さ」

「きゅー…」

「大丈夫だって!どうせ自作だし!」

「きゅぅー?」

「おい、その目はなんだ。これでも国家錬金術師筆頭だぞ」

「……………きゅ?」

「嘘だろ、じゃねぇよ。アトリエにダース単位でおいてあるっつーの」

「…きゅっ」

「明日の朝お前の鼻からエリクシールの原液突っ込んで起こしてやる。キクぞぉー」

とボーデンがアホな事を言い、それを鼻で笑ったシラヌイは獣化を解いた。

「晩御飯にするよ」

と言ってキッチンへ。

「うーい」

「お皿どこー?」

「あー。ちょっと待ってな」

ボーデンが皿を鍋の横に置いた。

「ボーデン、パンあるなら切っといて」

「あいよ」

シラヌイは台に乗って、氷で作ったお玉杓子でスープを皿によそった。

その皿を少しよたつきながらテーブルへ。

「食べよう。ボーデン」

「おう」

ボーデンが切ったバゲットを皿に乗せ、テーブルに置いた。

二人は向き合うように座った。

「「いただきます」」

ボーデンはスプーンでトマトスープを掬った。

くんくんと匂いを嗅ぐ。

「ちゃんとアルコールは飛ばしてあるよ」

「おう、そうか」

「食えない物もいれてないよ」

「………………」

「おいボーデン。その信用できないみたいな顔はなんだ?」

「だってお前訳のわからん粉入れてたし…」

「あれは…ただ膨らむだけだよ。今回は魔法で煮込んだけどヤバイのは入れてないし」

「ふーん…何を使ったんだ?」

「風属性で疑似圧力鍋。仕組みはこんど話すけど、煮込みの時間を短縮できる。
まぁ、加減間違えて具材全部溶けたけど」

ボーデンは自分が食べているスープを改めて見た。

そしてスプーンで掬う。

スープだけだ。具がない。


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