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オズのトロット
第一幕その五

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「ドロシー達とかくれんぼしたらね」
「こうしてですか」
「見付けるのが大変ですか」
「隠れる方も」
「そうした場所なんですね」
「この宮殿は」
「ええ、隠れようと思ったらね」 
 それこそというのです。
「隠れる場所があんまりにも多くて」
「迷宮みたいですね」
 カルロスはここでこう言いました。
「本当に」
「ええ、実際にね」
「ここは迷宮ですね」
「そう言っていいわ」 
「何かここも地図が必要かも」
「はじめて来る人の為にあるわよ」
 実際にというのです。
「この宮殿のね」
「やっぱりそうですか」
「この宮殿は昔よりも広くなったし」
「改築していって」
「階も増えたしね」 
 そうもなってきてというのです。
「面積自体もね」
「それでなんですね」
「昔から広かったけれど」
「今はもっとですか」
「広くなってるわ」
「そうなんですね、ですから」
「かくれんぼしたら」
 今みたいにというのです。
「凄いことになるわ」
「そうした場所ですか」
「ええ、だから面白いけれどね」
 ここでこうも言ったトロットでした。
「迷うと大変よ」
「今何処にいるのかわからなくなって」
「その時はジュリアが探してくれるけれどね」
 ずっと宮殿で働いているこの娘がというのです。
「酷いことになるわ」
「そうですか」
「カルロス達はこの宮殿に何度も来ていて沢山の時間ここにいて宮殿のことも知ってるわね」
「はい、隅から隅まで」
「それで隠れられて迷わないけれど」
「それでもですか」
「知らない人が下手にかくれんぼしたら」
 この宮殿のことを知らない人がというのです。
「ジュリアじゃないと助けられないわ」
「凄い宮殿なんですね」
「外の世界でもないんじゃないかしら」
「この宮殿みたいに広くてお部屋の多い宮殿は」
「そうそうね」
 こうトロットが言うとでした、カルロス達も言いました。
「ベルサイユも凄いですけれど」
「フランスの」
「もう凄い大きさでお部屋も多いらしいし」
「お庭も凄くて」
「けれどあの宮殿よりも」
「この宮殿は広いかも知れないわね」
 トロットはこう五人にお話しました。
「私もあの宮殿のことは聞いてるけれど」
「はい、凄く大きくて」
「奇麗なんですよね」
「写真とかを見ていたら」
「完成までに二百年かかったとか」
「とんでもない宮殿ですね」
「あの宮殿よりも大きくて立派かも」
 そのエメラルドや金銀、他の多くの宝石や大理石で飾られた宮殿を見回して五人に答えるのでした。
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