暁 〜小説投稿サイト〜
NEIGHBOR EATER
EATING 1
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勝利した。

「はぁ…はぁ…勝った…勝てるんだ…」

カサッ…

<死>が動いた。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

驚いた俺は<死>に鎌を何度も突き刺した、何度も何度も何度も…

「はぁ…はぁ…もう…動かないよな…」

ふと、<死>の中に何か光る物を見つけた。

淡く光る六角形の板だった…

ゴクリ…

俺の中の何かがそれを求めた。

「なんだ?この板?」

喰らえ! 俺の中の何かがそう叫んでいる。

訳の解らない<死>と戦い、思考力が低下していた俺は従った。

がっ、はぐっ、あむっ、ゴクン…

それを喰らうと体の奥から何かが溢れて来た。

俺はその全能感に魅いられ、もう一つの<死>からも板を奪った。

「あは、はは、ははは、はははははは!」

その全能感に身を任せ俺は走り出した。

さっきまでの疲労が嘘のように軽快に。

走っているとさっきの奴と同じ<死>を見つけた。

「あは!みぃつけた!」

俺は後ろから走って近付き…

上にのってから口の中に鎌を捩じ込んだ

ドスン…、と<死>が崩れ落ちた。

<死>を解体するとやはり板が出てきた。

喰らうと一段と力が増したような気がした。

「もっと、もっと、モッと、もっト、モット!」

遠くに見えた山のような巨体の<死>を見据え、走り出す。

きゃぁー!助けてー! と、巨体の<死>の方から声がする。

子供の、女の、男の、老人の…

「アハァ!やっト着イた!」

巨体の<死>は大きすぎて俺じゃ届かない、だから。

「こウすれバいい!」

途中で鎌の<死>から奪った鎌を投げ付ける。

グロロロ…

巨体の<死>が煩わしそうに唸り声を上げて、俺の方を向いた。

「アハハハ!そうダ!こっちに来イ!」

ズゥン…ズゥン…

と巨体の<死>が俺を喰らわんと向かってくる。

グパァ、と口を開けて俺を喰おうとした。

「その時ヲマっていたァ!」

口の中の眼を隠し持った鎌の鋒で貫く。

ズドォォォゥゥゥゥン…

巨体の<死>が崩れ落ちた。

解体すると中から繭に包まれた人と大量の板と死体が出てきた。

死体の胸には、穴が有った。

何かに貫かれ、引き摺り出したような穴が。

『やめろ』

本能が囁いた。

だが、俺は頭に過った仮説を確めずには居られなかった。

すなわち、板の枚数と死体の数。

数えると、一致した。

俺は背筋に氷を入れられたような気分だった。

でも、それは一瞬の事で、俺の中は大量に得た板に狂喜乱舞していた。

『ロクデナシ』と言われるかもしれないが、俺はその誘惑に抗えなかった。


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