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嗤うせぇるすガキども
戦車は愛と正義を否定する 後編
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はずだ」
『世界一におなりになりたければ、ご自分の力だけでおなりください』

 その時になって、玖波はやっと気がついた。
 この少年悪魔が、彼をおちょくっていたことを。
「おちょくる」という熊本弁を全国区にしたのは、彼の遠い子孫だが。

「貴様ぁ……!」

 玖波は少年悪魔につかみかかろうとした。
 しかし背後から放たれたクモの糸に捕らえられ、少年悪魔まであと少しのところで玖波はそのまま静止する。

『ふふふ……』

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 玖波が背後をふり返ると、そこには彼と同年輩のように見える、おかっぱの銀髪に黒い衣装、右腕と左脚だけを赤いレザーで包み、顔の右だけ覆面で覆った異様な若者が立っていた。

『僕は、少年X・陽炎』

 艦娘ではなく男のくせに「陽炎」だと、ふざけるにも程がある。
 玖波は怒りをむき出しに悪魔少年をにらみつける。

「どこまで人をからかえば気がすむんだ!」
『からかいやいやがらせや挑発は無視するにかぎるんだよ。
 反応すればかえって、君の方がバカではないかと思われる。
 かわいそうに。君はいったい何を今まで教わってきたんだい?
 まあいい。君は本当は世界の女をすべて味方に付ける必要はないんだよ。
 ならば、僕にでもなんとかできる』

 こいつの目的はいったい何なんだ?
 悪魔がただで働くわけがない。
 クモの糸で囚われたまま、玖波は顔だけを悪魔少年に向ける。

「何が貴様の望みだ?」
『彼。──ああ、僕の同僚の身柄の解放だ』

 つまり、玖波の召還は少年悪魔を部分的にせよ拘束していると言うことのようだ。
 だから玖波の仕掛けた呪術をリセットさせろというのだろう。

「……どうやって僕の望みを実現するのだ?」
『児玉理事長に議長権限で君の入門の緊急動議を発議させ、理事会の面子をすべて操り、無理やり賛成させるのさ。10名に満たない人間ならば造作もない。
 もっとも、この場で君を「消去」してしまってもいいんだ。僕としては』

 悪魔少年の手から伸びる「クモの糸」が妖しく光る。
 彼は怒っているのだろう。この条件闘争は彼にできる最大限の譲歩。ということか。

「話を聞かせろ。条件はのむ」

 玖波は、それでもまだ尊大な態度を隠そうとしない。
 悪魔少年には、かえって滑稽なだけなのだが。
 クモの糸は「ふっ」と消え、彼は自由になる。



『戦車乗りに絶対に必要な条件って、何だと思う?』

 玖波と相対する悪魔少年は、いきなりそんな質問を玖波に投げた。

「ふん。優れた頭脳に瞬発、持久ともに優れた筋力、さらに高度な反射神経」

 当たり前のことを当たり前に答えればそうなる。
 玖波はあいかわらず主導権を握ってい
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