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嗤うせぇるすガキども
とある地獄の断罪台帳 2/2ページ
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 二匹が去った後、プラウダ風紀いいんかい?は、再生するたびに一言ずつで助けを求める。

「だ」

 しかし、そこには彼同様の罪人しかいない。

「ず」

 もはや懺悔も、許されない。

「げ」

 すべてが滅ぶ日にも、プラウダ風紀いいんかい?は地獄の業火として燃え続ける。

「で……」

 彼を救うベアトリーチェはいたかもしれないが、彼自身がその可能性を閉ざしたのだ。
 第504火力発電所の耐火扉がしまっていく。
 もうそこには、だれもいない。

 赤猫は思う。
 酸っぱいブドウが本当に酸っぱいのかどうかは、誰も知らない。
 キツネがそう決めつけて良いのは、少なくとも彼はブドウを求めて戦ったからだ。



『もう金輪際パフェは食わない方が良さそうだにゃ。あいつのようになるにゃ』
『ああそうだ。コレステロールとトランス脂肪酸と糖分のかたまりで、一食6,000kcalはあって、胃腸と肝臓とすい臓を壊したあげく、動脈硬化になるだけだからな。
 パフェという毒物は』
『ハンコ絵ふぃぎゃーと何もかわらないにゃー。くわばらくわばらにゃ』
『というわけで、俺は健康のために納豆製造器を作ったんだが……』

 ……ハエの魔物が作った納豆も、どうだろうか?
 それはおいておいて、健康によいものは、まずいかくさいか苦いものだ。
 人間を甘やかしてくれる全てのものは、最後はそいつを地獄に落とす。
 やっぱり「地獄への道は、常に善意に満ちている」のだ。






 二匹はモノレールを乗り継いで、もう一つの問題である第777製油工場にやってきた。

『うっ! ひどいにおいだにゃ!』
『いんや、俺様にはいい香りだ』
『完全に腐ったくさやのにおいにゃー!!』

 ハエにとっていい香り……。
 ハエは汚物にもたかるが、美味しいものにもたかるから何とも言えない。
 それにくさやは腐らない。
 だがこの場合……。

『においの元はここにゃ』
『ああ、そうだな』

 ここの製油施設は「圧搾式」で罪人から搾り取るもののようだ。
 他にも「煮沸式」や「遠心分離式」のものもありそうだが、このプラントにはない。
 赤猫の感じた「腐臭」は、材料の罪人が原因のようだ。
 透明の巨大なチューブの中に、一人の男が押し込められている。
 必死にチューブを叩いて、「出せ!」とわめいているようだ。

『やせ形なのが気になるが、身なりも毛並みも良さそうな罪人だぞ』

 そう、彼は頭髪を折り目正しく七三に分け、地味なダークスーツを着こなした真面目そうなメガネ男である。あくまで真面目そうというだけだ。

『だけど、コイツの腹のなかは真っ黒けにゃ』
『うむ。典型的な小才子タイプ
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