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赤き巨星のタイタノア
第8話 招かれざる客
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きさを感じ取り、屈託のない笑みで感想を告げる。
 一方、ストレートな言葉をぶつけられたルクレイテは耳まで真っ赤になり、今度は恥じらいゆえに目を伏せてしまった。

「……ろ、録音です。脳内保存です。永久保存版です……!」
「……? ルクレイテさん、何やって――!?」

 そんな彼女の様子に、威流がますます疑問を抱いた……その瞬間。

 天を衝く轟音と共に、激しい地震が発生した。木々が揺れ、葉が舞い飛び、鳥達が慌ただしく飛び去っていく。群れをなす動物達も、四方八方へ走り去っていった。

「この揺れ……地震!? いや、違う!」
「……! まさか!」

 突如この星を襲ってきた、謎の大地震。そのただらならぬ振動に、翻弄されながら――2人は、目撃する。

 爬虫類を彷彿させる、深緑の肌。甲冑の如き、鋼鉄の鱗。
 黒い背びれに長い尾、獰猛な牙に鋭く紅い眼。二足歩行を実現させる、太く強靭な両脚。

 忘れるはずもない。あのシルエットは――怪獣軍団の親玉にして、唯一の「成体」である「大怪獣」そのものであった。

「あ、れは……!」

 あの日、火炎放射で自分を撃墜した諸悪の根源。森の向こうに出現した、その悍ましくも雄々しい立ち姿に――威流は、かつてない戦慄を覚えていた。

「この星に、資源はもうないって聞いたが……!?」
「……新しい資源になる『捕食対象』を見つけたのでしょう。それが眠りから覚め、活動を再開したことで……大怪獣の嗅覚が反応した……!」
「活動を再開……? ――まさか!」

 長らくこの星は、怪獣の「捕食対象」となるような強力な生物がいなかった。だから怪獣軍団はこの星から去り、地球を目指した。
 個々の体は格段に小さい怪獣軍団ですら、そうして背を向けるほど「獲物」が少ない星なのに――大食らいであるはずの「大怪獣」がここにいる理由など。

 ――もはや、一つしかない。

「はい……! 奴の狙いは、私の父です!」

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