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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
エピローグ2 フェイト・テスタロッサ
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『フェイト、あなたに探して欲しいものがあるの』。

 そう言われたのは、何度目だろう。

 ロストロギアと呼ばれる、他世界他文化の遺産を探して手に入れること。

 それが母さんが私に頼むこと。

 正直言うと、私と母さんの関係はあまり良いとは言えない。

 私にとっては大好きな母さんだけど、直接会話をしたのは幼い頃のほんの一時だけだった。

 今ではもう、家族らしい会話なんてない。

 母さんが私に頼みごとをし、私はただそれに応える。

 例え答えられても、褒めたり、頭を撫でたりしてはくれない。

 でも、こうすることが母さんを笑顔にすることだと言うのなら、私は迷わない。

 例え今回がまた無駄に終わっても、それでも構わない。

 私はただ、母さんに喜んでもらいたいだけだから。

 それが私/フェイト・テスタロッサの、ただ一つの願いであり、存在理由――――そう思っていた。


*****



「フェイト、何を見てるの?」

「うん、これ」

 椅子がわりに座っているベッドの上で、私はモニターを操作して画像データを開いていた。

 そこに写っていたのは、写真。

 私を真ん中、その後ろに黒鐘が立っていて、その周りをみんなが取り合っている写真。

 みんな、私を含めてみんなが笑顔の写真。

 黒鐘とのデートを終えて、アースラに戻ろうとする前の短い時間で、私がなのはと交わした会話の中で私たちは『友達』になった。

 私にできた、始めての友達。

 私は友達というのがどういうものか分からなかった。

 だけど、あの子は教えてくれた。

『名前を呼んで。 最初は、それだけでいいの』

 それはとても簡単なことで、そんな簡単なことに至るまでとても長い道のりを歩んできた。

 私はあの子と……なのはと、友達になった。

 雪鳴と、柚那とも、友達になった。

 そして別れる前、私はなのはと互いの髪を結んでいた紐を交換した。

 私の黒と、なのはの白。

 それは私の大切な宝物で、結ぶときには必ずつけている。

 また、必ず会うための約束を忘れないために。

 そしてそのあと、みんなと一緒に撮った思い出の写真。

 友達記念……なんて名づけて撮ったけど、ちょっと照れくさいな。

 嬉しいけど、恥ずかしい。

 そんな感覚は始めてで、まだうまく抑えられない。

「フェイト、嬉しそうだね」

「え……あ、うん。 そうだね」

 アルフに言われて、私は自分が笑っていることに気づいた。

 嬉しい。

 そう思えるようになったのは、きっと――――お兄ちゃんのおかげ。

 たくさんのものを
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