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アタエルモノ
第一話
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「どうも、兵庫の中学出身の神谷 沙紀(かみや さき)です。相談があったら、何でも言って下さい。」
 
 
こんな感じで挨拶をしたのは、俺の隣の席の女の子だ。だいたい百五十後半位の背にボブ位の髪、全体的に整った顔立ちで、ほんの少しのつり目が強気そうな雰囲気をイメージさせる。
 
「いやいやー、神谷?相談するのはお前の方だぞ?なんせ入学したてなんだからな。」
 
先生がそう言うと、教室からクスクス笑う声が聞こえた。
 
「えっ…………あ、それもそうですね。」
 
女の子がそう言うと、今度はクラス中から笑いがこぼれた。かくいう俺もその中の一人なのだが。
 
成る程、この子は周りを引き込むのがかなり上手なようだ。それもそうですね、と言いながら笑っていたので、恐らく狙ってだろう。
 
「そんじゃま、何か困ったら助けて貰うかね。それじゃ、次――。」
 
先生はそうまとめると、次の生徒の名前を呼んだ。
 
ここは関東にある私立校、私立七宮学園。学校法人 学びの宮グループが七つ目に設立した、日本屈指のマンモス校だ。三学年合わせて軽く千人は下らないと言う。確かパンフレットに人数が書いていた気もするが、そんなことはどうでもいいか。
 
俺が所属することになったこの一年四組は、男女どちらも二十人の合計四十人のクラスだ。この学校の体育祭にフォークダンスがあるのかは知らないが、男子一人余る事とか、男子ペアとかが無くて良かった。
 
おっと、自己紹介がまだだったな。俺はここにこの春から通うことになった、八重樫 真広(やえがし まひろ)だ。すこぉし色々あって、なんとかここに入学することができた。座右の銘は『人生楽ありゃ苦もあるさ』。
 
さて、クラス全員の自己紹介は滞りなく進んでいた。ボケを取ろうとして盛大に滑った奴、真面目にやろうとして噛んだ奴、むせた奴とかがいたが、まぁ、ドンマイ。俺はと言うと、特に目立つこともない挨拶をした。隣の神谷からは期待の目を向けられていたが。
 
「それじゃ、これから一年間はこのメンバーだ。しっかり仲良くしていけよー。」
 
全員の自己紹介が終わったとき、先生がテンプレのような言葉を言ってきた。まぁ、『自分から孤独になろうとする痛々しい奴』とか、『他人をひたすら虐めんのが大好きな奴』以外は、そうするのが懸命だろう。
 
当然、そんな変な趣味を持ち合わせていない俺は、このホームルームが終わったら適当な男子に話しかけようかなと考えていた。左隣りの福島とか言う奴なんか、人懐っこそうで話しやすそうだな。
 
そんなことを考えていながら、先生の話を軽く聞き流す。我が校の伝統だとか、校訓だとか。伝統なんて言っても、創立二十年にも達してない、校訓は、今では『自立』らしいが、開校当初の案には、『自由奔放
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