39部分:第四話 張飛、馬超と会うのことその三
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第四話 張飛、馬超と会うのことその三
「貴殿は」
「いや」
しかしであった。趙雲はここでこう返すのだった。
「それはしない」
「しないのか」
「言ったな。貴殿達と共にいると」
「ああ」
「それにだ。袁紹殿はだ」
ここで趙雲の眉が少し顰めさせられた。そのうえでの言葉だ。
「確かに政治や軍事は上手い」
「ではいいではないか」
「しかし。癖のあり過ぎる人柄なのだ」
問題としているのはそこであった。
「どうもな。何かあればすぐに騒ぐ。そして妙な劣等感も持っている」
「劣等感もか」
「袁紹殿は名門袁家の生まれなのは知っているな」
「うむ、それはな」
関羽もこのことは知っていた。それもよくである。
「四代三公の家だな。知っているが」
「だが母の身分は低い。だからだ」
「だからか」
「そうだ。それで何かあればすぐに騒ぐ」
劣等感故にそうするというのだ。
「だからだ。どうも性に合わない」
「そうか。だから仕官しないのか」
「そのせいで宦官の家の出の曹操殿とは妙に馬が合うようだが」
「お互い日陰者意識があるのか」
「そうだ、ある」
まさにそうだというのだ。
「二人共な」
「袁紹殿と曹操殿か。仲がいいとは思えないがな」
関羽はそれはあまり想像できなかった。
「だが。そういう事情があったのか」
「袁紹殿は本来はあそこまではなれなかった」
これも事実であった。
「曹操殿もだ。妾腹に宦官の家だからな」
「しかし大将軍に認められてだったな」
「気に入られたとも言うべきか。あの方も身分が低く譜代の側近がいない。だから少しでも有能な人材が必要だ。だからこそだ」
それで集めているというのだ。
「あの方も宦官との政争があるしな」
「都も物騒なものだな」
「そうですね。この国は何かと不穏な空気に満ちています」
ナコルルも顔を曇らせて述べる。
「それがどうなるか」
「それはいいとしてなのだ」
だがここで張飛が言ってきた。
「お腹が空いてきたのだ」
「いや、待て」
だがここで趙雲がその彼女に言う。
「今は路銀が少ないぞ」
「そうなのだ?」
「張飛が一度に何人分も食べるからだ」
「鈴々は知らないのだ」
自覚はない。
「そんなことは」
「いや、御前はかなり食べてるぞ」
関羽もここでその張飛に言う。
「十人分は普通ではないか」
「あれが十人分だったのか。鈴々はわからなかったのだ」
「全く。御前ときたら」
「ではここは」
ナコルルが言ってきた。
「また笛で」
「そしてだ。歌うのもいい」
趙雲は歌も提案した。
「愛紗、貴殿は声がいい」
「声がか」
「それに歌も上手い。だからナコルルの笛に合わせてだ」
「歌うのか、私が」
「そうだ。私
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