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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第三十八話 軍法会議
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は間違っていなかったと思っています」

この発言が全てを決めたと思います。検察官はこれ以後も質問をしましたが明らかに精彩を欠いていました。おそらく敗北を覚悟したのでしょう。


軍法会議が全ての審理を終え判決が出たのはそれから十日後の事でした。グリーンヒル参謀長とヴァレンシュタイン大佐は無罪、そしてロボス元帥には厳しい判決が待っていました。

「指揮官はいかなる意味でも将兵を己個人の野心のために危険にさらす事は許されない。今回の件は指揮官の能力以前の問題である。そこには情状酌量の余地は無い」

普通、第二百十四条の事件では判決の最後に原告に対して情状酌量の余地は有ったという文言が付きます。これは原告の名誉を守るためです。第二百十四条を使われた以上、原告は指揮官としては先ず復帰できません。ですが指揮官以外では軍務につくことも可能です。あくまで指揮官としては不運であったという言い方をするのです。また、なんらかの事情で指揮官として復帰するときにはこの情状酌量の余地は有ったという言葉がその根拠になります。

今回の判決にはその言葉が有りませんでした。また指揮官の能力以前の問題と言われたのです。ロボス元帥は指揮官として、軍人としての復帰を完全に断たれました。シトレ元帥が読み上げる判決を聞くロボス元帥の顔は屈辱にまみれていました。ロボス元帥が退役したのはその翌日の事です。第六次イゼルローン要塞攻略戦はこうして終わりました……。


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