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相良絵梨の聖杯戦争報告書
東京湾岸倉庫街対ランサー戦
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しょう!」

 具体的には、軌道上の偵察衛星あたりを。
 こっちの結界解除を衛星からも監視されていたという米国の本気に苦笑するがそれで命が助かったのだから文句を言えない。
 路地に隠れた私に近づかせないように、慌てて駆けつけた米国捜査員が拳銃を乱射する。
 あ。調子に乗り出して弾をかわすどころか槍ではじき出したぞ。
 多分、サーヴァントのランサーだろう。
 その後始末に若宮分析官が頭を抱えているのだろうなと場違いな感想を抱きながら、私はポケットから用意したそれのピンを抜いて投げる。

「スタングレネード!!」

 米側は対処できるが、サーヴァントの現代知識でそれに感づいて目を隠し耳を塞いで距離を取る。
 閃光と轟音で誰も目と耳が潰れたこのチャンスを逃すつもりは無い。

 タロットカード『フォーチュン』使用。

「ちっ!
 マスターからの撤退指示だ。
 その首預けておくから、さっさとサーヴァントを呼ぶんだな。
 あばよ!」

「ミス神奈!
 ご無事で?」

「私は大丈夫」

 起き上がって服の埃を叩いたらヘッドマイクから嫌な報告が飛び込む。

「おい!
 目標の倉庫が燃えているぞ!!」

「消防に連絡!
 急いで!!」

「全員この場より撤退を。
 撤退後は各自予定ポイントβに集合」

 私も走り若宮分析官が開けたドアから乗ると、村田警視が車を走らせる。
 無事なのを確認して、若宮分析官が頭を抱えたのは言うまでもない。

「どうするのよ。これぇ。
 倉庫火災はともかく、銃撃戦はなんとかごまかさないと……」

「ヤクザの抗争で押し切るしか無いでしょう。
 向こうには神奈くんを助けてもらった恩がある。
 こちらが泥をかぶるしか無い」

 車を走らせながら村田警視も苦々しい顔を隠さない。
 スナイパーや拳銃の弾がきかないサーヴァントの脅威を目の当たりにしたらそういう顔にもなるだろう。

「多分ですが、あれ、アトラム・ガリアスタの工房を潰しにきたんだと思いますよ。
 で、私達とかちあった」

 サーヴァントが出てきたという事はマスターが命じたという事だ。
 そして、それを命じる為にはアトラム・ガリアスタが死んで、彼のサポート工房がここにある事を知っていないといけない。

「魔術協会が先に手を出してきたのかもしれません。
 神秘は秘蔵されるべきを建前に出されたら、少なくともこちらの取り付くしまはないですよ」

「何を勝手なことを」

 その翌日。
 冬木市のビルで火災が発生。
 そこがアトラム・ガリアスタの工房である事をニュースで知ることになる。
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