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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十七話 イゼルローン要塞へ
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こで勝ったから私達は此処にいるんです。違いますか?」
私はあの勝利をヴァレンシュタイン大佐に後悔してほしくありません。

私はヴァレンシュタイン大佐がどんな思いをして戦ったか知っています。色々有りました、大佐にとっては不愉快な戦いかもしれません。それでもあの戦いに勝ったことを後悔してほしくありません……。あの戦いは大佐の力で勝ったんです。だから私達は生き延びることが出来た……。

「基地を放棄すれば良かったんです。そうすれば基地の失陥は同盟軍全体の失態となったはずです。基地上空での艦隊決戦も発生しなかった……、ロボス元帥も面目を失うことはなかった。それなのに私は勝つ事に拘ってしまった。多分怖かったんでしょう……」
「……」

「一番拙い勝ち方になりました。そのツケを私達は今払わされている。一体私は何をやっているのか……」
そう言うとヴァレンシュタイン大佐は大きく溜息を吐きました。

私は何も言えませんでした。大佐はただ後悔していました。慰めも同情も必要とはしていません、ただ後悔していたのです。私には黙って大佐を見ている事しかできませんでした……。


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