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機動戦士ガンダム・インフィニットG
第十一話「狙われた一夏」
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目が見えない。何かが視界を遮っている。そして、目の前からオチャラケた女の声が一夏の名を呼ぶ。
「イッ君〜! ようやく捕まえたよ〜!!」
「こ、ここは……どこなんだここ!?」
目隠しをされ、両手首に手錠をかけられた一夏は、恐怖に見舞われ立ち尽くしている。
だが、次の瞬間に目を覆う布と前手の手錠は足元に転がり、彼の拘束は解けた。そして、目の前には、一夏自身が最も嫌っているあの物体「IS」が見つめていた。待機状態であるISは甲冑のように手足、胴のアーマーが積みあげられている。白銀のISだ。
「イッ君、これこれ! このISに触ってみて?」
「……!」
その声は、自分が最も毛嫌いしている人物の一人で、嫌いな姉の親友……
「た、束さん!? どうして!?」
「だってぇ〜! イッ君が束さんの作った、この『白式』に乗ってくれないんだもーん!」
と、束はウルウルしながら自分の背にあるその白式という待機状態のISを指した。
「何度言おうと、俺はISには乗りませんし、そもそも『男』である俺がISに乗れるわけないじゃないですか」
「ところがどっこ〜い!!」
束は、そういって軽々と待機状態の白式を抱えて一夏の近くへ置くと、「えい♪」と一夏の背をドンと押したのだ。
「うわっ……」
咄嗟に、白式の冷たい装甲に手をかけてしまった。その途端、一夏はまばゆい光に包まれた。その気は、ユニコーンを纏ったときの感じとは違い、強い自尊心と可憐さが彼の脳内をよぎった。男である彼にとっては不愉快だった。
そして、光が収まった先に映し出される己の姿に、一夏は衝撃と共に絶叫を挙げた。

「……ッ!?」
ガバッ……と、一夏は寮のベッドの上で目を覚ました。嫌な夢だと彼は額を抱える。
――朝から嫌な夢を見ちまうなんて……
どうか、正夢にならないことを願おう。
「該……は、もう先に行っちまったのか?」
隣のベッドで寝ていたルームメイトの該は、先に起床して部屋から出ていったようだ。別に、今日は休日ゆえジュドーの友人らと遊びに行ったに違いない。自分も、今日ぐらいは「寝る曜日」にせず、気分転換に外へ出ることも悪くはない。
そんなとき、突然部屋を激しくノックする音が聞こえた。それに対して一夏は咄嗟に身を隠した。この強烈な気配と感じは彼女しかいない。
「一夏ッ! 共に道場へ……あれ? いない!?」
そう、一夏を剣道の稽古に付き合わそうとして毎週の休みや、ひどいときは平日の早朝になると、こうして箒が道着に着替え、竹刀を片手に押しかけてくるのだ……
「むぅ……!」
見たところ、室内に一夏の姿は見当たらなかった。箒は、彼が自分よりも先に出ていったことと感じて、この部屋を後にした。彼女が部屋を出て数十秒後、一夏がベランダから姿を現し、ホッと胸をなでおろした。
「ふぅ〜……アブね
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