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夢幻水滸伝
第一話 夢の世界その十三

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「何でか知りませんけど」
「確か水滸伝やと」
「宋江が天魁星やったな」
「百八の星で一番やったな」
「その魁やから」
「綾乃ちゃん全ての星で一番っちゅうこっちゃ」
「それめっちゃ凄いやん」
 中里はこのことを言われ思わず顔を変えてまでして言葉を出した。
「綾乃ちゃんそんな偉いんか」
「偉いかどうか知らんけど僕等の勢力の君主やで」
「そうなるんか」
「筆頭巫女でな」
 その立ち場でというのだ。
「まあ祭司長とか女法皇とかになるかもな」
「法皇は仏教かキリスト教やろ」
「そういうのやないからな」
「筆頭巫女か」
「そうなるわ、流石に帝はないわ」
 この呼び名はというのだ。
「恐れ多いからな」
「うち神社さかい」
 綾乃も言う。
「それも帝もお祭りしてるし」
「それでかいな」
「そやねん、帝なんて恐れ多いわ」
 その称号はというのだ。
「それで止めになったんや」
「神道やからか」
「皇室は神道の総本家みたいなお家でもあるやん」
「そういえばそやな」
「そやからその呼び名だけはあかんさかい」
「それでやな」
「筆頭巫女になってん」
 この呼び名にというのだ。
「うちはな」
「そやねんな」
「そやで、それで中里君どないするねん」
 綾乃も聞いてきた、彼の身の振り方について。
「これから」
「そやな、職人さんとかお百姓さんには向いてないみたいやし」
 それでというのだった。
「用心棒とか賞金稼ぎとか興味ないし」
「そうしたお仕事好きやないんか」
「流れ者になるつもりはないわ」
 そちらの道はというのだ。
「しっかりした家に住みたいわ、こっちの世界でも」
「ほな私達と一緒におらん?」
 綾乃は微笑んでだ、中里に自ら誘いをかけた。
「それで一緒にやっていかん?」
「この三人でか」
「他にも色々な子が一緒やけど」
「その皆とやな」
「そや、一緒にやっていかへん?」
「そやな」
 綾乃の誘いを受けてだ、中里は再び考えた。そのうえで綾乃に答えた。
「お家にも住めるし」
「決まりやな」
「これから頼むわ」
 こう綾乃に言った、そうして彼女達と共にこの世界で生きることになった。彼等の本来の世界ではないこの世界で。


第一話   完


                            2017・1・13
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