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自然地理ドラゴン
二章 追いつかない進化 - 飽食の町マーシア -
第19話 アンデッド、襲撃
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と判断し、シドウは剣で臨んだ。



 シドウは目の前のアンデッド――白骨化しておらず、一般的にゾンビと呼ばれている種――に対し踏み込んでいくと、構えた剣を振り下ろした。

 それを避けようという動きはいちおう見られたが、ゾンビのスピードは遅すぎた。
 肩に剣が命中し、そのまま鈍い音を立てて崩れ落ちた。

 復活させないよう、その骨をある程度細かく砕く必要がある。
 シドウはさらに振りかぶる。

「……!」

 振り下ろす前に、横から火の塊が飛んできた。
 ゾンビが炎に包まれ、瞬く間に灰となった。
 その火の発射元は――

「私が今まで見た剣士と比較しますと、シドウくんの剣技はかなり基本に忠実ですね」

 赤毛の魔法使い、アランである。
 剣技を評論しながら近づいてくる彼に対し、シドウは頭を軽く下げることで礼の代わりとした。

「ハッキリ『上級のわりにあまり上手じゃない』と言ってくださっても、俺は大丈夫ですよ」

「私もあまり剣のことはわかりませんが、下手ではないはずですよ? 素直で綺麗だと思います。まるでシドウくんの顔や髪を表現したような剣技です」
「よくわかりませんがありがとうございます」

「私は倒したアンデッドの後始末に回りますね。魔法使いとしてはそのほうが効率がよさそうですから」

 そう言いながら、他の冒険者が倒した近くのスケルトンに手のひらを向ける。
 一瞬でそれを炎に包んで灰にすると、アランはまた次の燃料を探すために移動していった。



 シドウは周囲を見渡す。

 他の冒険者も、それぞれがアンデッドと戦っている。
 彼らの半数程度は町の人間だろう。肥満体型なので一目瞭然である。
 さすがに動きはあまりよくないが、死人が出そうな雰囲気などはない。

 ティアも、少し離れて戦っていた。
 シドウは過去にチェスターの森で、彼女が上級アンデッドを見事ノックアウトするところを見ている。
 よって最初からあまり心配をしていなかったが、やはり見事な戦いぶりを披露していた。

 集まっていた冒険者では唯一の女性前衛職だったため、非常に目立つ。
 近くで戦っていた他の冒険者たちも、チラチラとティアの戦いぶりを確認しているようだ。つい見てしまうのだろう。

 使用武器も左手に着けた籠手爪であり、剣ではない。
 リーチも剣に比べれば狭いのだが、黒い長髪をなびかせながらスルリと間合いを詰め、一撃を決めてゆく。
 鮮やかな体捌きだ。

 ――そういえば。

 彼女の右腕の手首に近いところ。やや幅があり、頑丈そうな金属製の腕輪が装着されている。
 注意して見ていなかったので記憶が少しあいまいだが、以前にチェスターの森で一緒に戦ったときも、確か着けていたような
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