ビッチの時間
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唯の水だった。
「コップの中身って…水?」
「ああ、ただの水だ。なんの仕掛けもないだろう?…よく見とけよ」
そう言うと丈一郎はコップの中に指を一本突っ込み、そのまま深く息をする。
「コォォォォォォ……」
その瞬間コップに一瞬『バチバチ』と電流のようなものが迸ったかと思うと、日向は指を突っ込んだままのコップから手を放した。
その先の展開は常人なら誰でも予想がつき近くにいた生徒は思わず離れようとした。
「え?……はぁ?」
「何だこれ……夢でも見てんのかよ」
なんと支えを失ったはずのコップは下に落ちることなくその位置で止まっていたのである。水が凍り、棒突きアイスの様に凍った氷の中に指を突っ込んだかのようであったが、先ほども確認したか水筒の中身はただの水…唯の水に指を浸けているだけなのでそんなことは絶対にありえない。驚愕の余り大声を上げたクラスメイトを見る。
すると丈一郎は指が中に入ったままのコップを手首を捻ってひっくり返す。しかし、コップの中身の水はぶちまけられるどころか波打ったまま決してコップから零れない。そして丈一郎がその状態のままコップをゆっくりと持ち上げると
「おいおいおいおい…嘘だろ?」
「ヤバイヤバイ!写メ撮りたい!」
「プリンだ!水のプリンだ!」
茅野がプリンと連呼するのも無理はなく、コップの中の水はコップ本体と離れ、コップに入った状態のままの形で指が刺さったままプリンのようにプルプルと震えて固定されていた。さらに不思議なことに、水は氷の様に固体ではなく、液体のまま形は崩さないまま水自体は対流していたのである。
「俺は生まれつきこの力を使えた。そしてこの力の名は『波紋』…チベットのとある山脈が発祥の地らしく東洋では仙道なんて呼ばている」
因みに、俺に波紋を技を叩き込んでくれた師匠も昔は由緒正しい寺で波紋の修行をしていたらしい。まぁ、修行中に女誑かして勘当されて困っていた所を俺のジジイの親に拾われて兄弟の様に暮らしていたらしい。そう考えるとなんで俺の周りの人間は碌でもない濃い人ばかりなんだ?涙が出てくる。
「こいつは特殊な呼吸法により、体を流れる血液の流れをコントロールして血液に波紋を起こし、生命エネルギーを生み出す。この性質を利用して実践で使える様に昇華させた技の1つが先程、烏間先生使ったズームパンチだ。『波紋は痛みを和らげる』という特性を利用して、関節を外しリーチを伸ばした。因みに、この性質は医療にも使えるから、応急処置も手早く行える。」
まぁその性質のお陰で…よく分か
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