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豹頭王異伝
新風
弁論の魔術師
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「キタイ解放の戦い、ですとぉ?」
 ルナンのみならず全員の表情が強張り、室内の雰囲気が一変。
 一同が想定外の言葉に固唾を呑む中、リギアは微かに柳眉を顰めた。
 闇と炎の王子は無論の事、見逃す筈も無いが優雅に微笑み平然と無視。
 奇蹟の復活を遂げた貴公子、古代機械に指名された聖王家の正統なる後継者。
 古代機械の第二種管理認定者《セカンド・マスター》、アルド・ナリスの弁舌が続く。

「私がマルガに入ってから魔道の攻撃が途絶えていたのも、偶然ではないよ。
 御膝元キタイで大規模な反乱が起きた為、竜王は中原侵略の中断を余儀無くされた。
 竜王が秘める真の狙い、古代機械と私を手に入れる野望は打ち砕かねばならない。
 クリスタル解放後も私が留まる限り、パロに第2・第3の侵略謀計が仕掛けられる。
 レムスを一時的に見棄て撤退した模様だが、反乱を鎮圧の後に再び襲来するだろう。
 邪悪な黒魔道を操る竜の門が大挙して現れ、パロ全土を蹂躙する悪夢が現実化する。

 キタイの反乱が鎮圧される前に、是が非でも遠征軍を送らねばならない。
 ケイロニア王グインは自ら軍を率い、レムスを操る黒幕の本拠を突く覚悟だ。
 黒魔道を操り虐殺を重ねる竜頭人身の怪物、竜の門を断固として追い払う為にね。
 私は噂に聞く豹頭王から直接、竜王に関する様々な事情を聞いて確信を持ったよ。
 彼がシルヴィア皇妃を救出の為、キタイへ赴いたと云う噂は真実であったのだ。
 竜王の支配するキタイの都、ホータンは化け物や怪物の跋扈する魔都と化している。

 豹頭王グインは現場で実情を体験した後、真実を公表せんと画策していた。
 中原各国に激を飛ばし、キタイ解放の戦いを始める方策を思案していたのだ。
 それ故に彼は私の告発を知り、直ちに真実と理解してくれた。
 渋るアキレウス大帝を説き伏せてまで、パロへ出兵してくれたのだよ。
 グインがケイロニアを動かしてくれなかったら、我々はどうにもならなかった。
 各国に先駆け神聖パロを承認してくれた彼の恩義に、報いぬ訳には行かない。

 彼は回復する見込みの全く無かった、私の身体を治癒する方法も発見してくれた。
 キタイへ豹頭王と共に遠征するのは他でもない、パロ聖王国を最終的に救う為だ。
 わかってくれるね、ルナン、ダルカン、ワリス、ボース、ローリウス。
 私には如何なる理由があろうとも、グインと共に戦う理由があるのだよ」

 皇女シルヴィア救出を成し遂げた風雲児、豹頭王も躊躇し公表を憚る裏の事情。
 パロ解放軍を率いる諸将達は驚愕の事実を告げられ、完全に言葉を喪った。
 豹頭王グインが助太刀に動いた真の動機は、衝撃的であった。
 流石に異議を唱える気力を持ち続け得る者は、1人もおらぬ。
 一同を覆う沈黙、重
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