第三章
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「勉強はその次よ」
「じゃあスポーツかな」
「スポーツもね」
「違うんだ」
「勉強のことは三番目ね」
「じゃあスポーツは四番目かな」
「そうよ」
「じゃあ二番目は何かな」
目を瞬かせつつだ、フリードリヒは妻に問うた。
「一体」
「神の御教えを守ったね」
「立派な人にだね」
「なることよ」
それだというのだ。
「二番目は」
「神の御教えは」
「ええ、大切だけれど」
それこそ学業やスポーツ以上にだ、信仰が確かな人格を形成するという信仰を持つ者にあるその考えからくるものだ。
「二番目なのよ」
「じゃあ一番は」
「今からこの子に言うわ」
こう夫に告げた。
「いいわね」
「うん、それじゃあ」
「これからね」
一呼吸置いてだった、それから。
カテリーナは彼女とフリードリヒの子供にだ、こう言ったのだった。
「笑って」
「笑って?」
「そう、笑って」
微笑んでだ、我が子に言うのだった。
「まずはね」
「笑うことがなんだ」
「この子にね」
「最初に教えたかったことで」
「今そうしたの」
実際にというのだ。
「ずっとこうしたいって考えていてね」
「今言ったんだね」
「そうなの」
「笑うことがだったんだ」
「笑いがないと」
それこそというのだ。
「この世の中ってどうかしら」
「うん、確かにね」
夫は妻のその問いにだ、頷いてから答えた。
「味気ないね」
「そうよね」
「何もない、そして笑っていると」
「何かあってもね」
「何とか奮い立ったりするわね」
「笑っていられたら」
例えどんな時でもというのだ。
「気持ちは折れないから」
「だからだね」
「この子に言ったの」
「笑ってと」
「そう、笑えれば」
それだけでというのだ。
「違ってくるから」
「言ったんだね」
「そしてね」
「実際にだね」
「この子にはずっと言っていくわ」
今だけでなく、というのだ。
「何があってもね」
「笑って、ってだね」
「そう言うわ、心が折れない様に」
「わかったよ」
ここまで聞いてだ、フリードリヒは。
確かな、そうした笑みになってだった。カテリーナに言った。
「それがいいね」
「あなたもそう思うのね」
「うん、本当に笑いがないとね」
「味気なくなって、気持ちが折れてばかりで」
「どうしようもないね」
「だからよ、この子には何時でも笑って欲しいの」
「それから全てがはじめる」
また言ったフリードリヒだった。
「そういうことだね」
「そう、教えられてね」
「よかったんだね」
「ではこれからこの子とね」
「三人で笑顔でね」
「暮らしていきましょう」
妻は夫に顔を向けて言った、その顔は笑顔だった。そしてその妻に対す
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