第一章
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最初に言うのは
リヒテンシュタインは小さな国だ、二人はその小さな国で生まれ育っている。
フリードリヒ=ヴァレンシュタインとカテリーナ=ロッテンベルグは二人の職場である役場で知り合ってだった。
数年の交際を経て結婚した、その結婚式の後でだ。
カテリーナは楚々としたブロンドを短くした青い目のあどけない顔でだ、フリードリヒの自分と同じ髪と目の色の穏やかな顔を見て言った。カテリーナは小柄だがフリードリヒは長身だ。
「結婚したから」
「次はね」
「仕事は続けるけれど」
それでもというのだった。
「子供は」
「欲しいね」
「ええ、本当にね」
「僕もだよ」
フリードリヒも言うのだった。
「子供が欲しいよ」
「二人でね」
「一緒に育てよう」
「是非ね、それでね」
カテリーナは夫となった彼にこうも言ったのだった。
「色々と教えてあげないとね」
「子供にはね」
「さもないと」
それこそというのだ。
「何も知らないままだから」
「子供は教えてもらってね」
「知っていくからね」
「だからね」
それ故にというのだ。
「色々と教えていきましょう」
「二人でね」
「そして最初に教えてあげることは」
「そのことは?」
「その時にね」
にこりと笑ってだ、夫に言ったのだった。
「あなたにも話したいわ」
「子供が生まれたその時に」
「そう、その時にね」
まさにその時にというのだ。
「あなたにも言うわ」
「その時を楽しみにってことだね」
「そうなの」
童顔のあどけなさが残る顔でにこりとして言った言葉だ。
「今話そうかしら」
「いや、それはね」
「それは?」
「僕も楽しみにしておくから」
フリードリヒは妻に温和な笑顔で答えた。
「それならね」
「ええ、では神様にお願いしましょう」
「その子供が授かることをね」
「まずはそれからだから」
二人は式の後幸せの中話した、そして。
夫婦生活をはじめたがそれは非常に睦まじいもので。
一年程経ってだ、遂にだった。
カテリーナはフリードリヒにだ、二人の新居で夜言った。
「この前の健康診断の結果が出たけれど」
「うん、何かあったのかな」
「それがあったのよ」
こうにこりとして言うのだった、共に夕食を食べながら。
「授かったのよ」
「そう、遂になんだ」
「三ヶ月らしいわ」
カテリーナは夫に満面の笑みで話した。
「お医者様におめでとうございますって言われたわ」
「そう、遂にだね」
フリードリヒは丸い顔を満面の笑みにさせて言った、丸眼鏡が実によく似合う。
「僕達にもだね」
「神様が授けてくれたのよ」
「ではね」
「ええ、生まれたら」
七ヶ月先のことを今から
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