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豹頭王異伝
新風
新たな潮流
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確保、黒魔道師の呪縛から解放する。
 聖王レムス統治の体制は不変、有能な補佐役の派遣を要請する。
 アルド・ナリスは魔道師軍団を率い、キタイ遠征に赴く旨が記されていた。
 前パロ聖王アルドロス三世の末妹、アルゴス王スタックの妻にも密書が到着。
 スカールの無断出奔を弁護、恩赦を願うと記されている。

 リンダは士気高揚の為、マルガ離宮で顔見せ後サラミスへの移動を承認。
 ナリスと共に軍の先頭に立つ、と熱弁するが最愛の夫に説得され撤回している。
 パロ全土を震撼させた歌い手マリウス、アル・ディーンも鍵を握る重要人物。
 リンダ同様に魔道師ギルド、移転した魔道師の塔が護衛を担当する旨を誓った。
 アルド・ナリスが死を免れる時、世界は新たな分岐に向けて動き出すかもしれぬ。
 嘗て大導師アグリッパの結界で語られた言葉が、ヴァレリウスの脳裏に甦る。

 レムス即位の際に聖双生児の姉、予知者リンダの視た凄惨な悪夢。
 中原の真珠パロを襲う膨大な濁流、赤い鮮血の大河を覆す希望の光。
 北の王が齎す白い血の効果を極限まで高める触媒、パロ聖王家の青い血。
 白光を放つ星々のエネルギー、種族の遺伝記憶が秘める叡智の相乗効果。
 リリア湖の小島に誕生した新たな潮流、キレノア大陸を席捲する青い嵐の萌芽。
 北の星と暁の星が瞬き、青白い極光の渦が虚空を駆け抜けた。


 カレニア政府の首脳は外交面で手を打ち、マルガ離宮に諸将を召集。
 ケイロニア軍の参戦後は待機を命じられ、手持無沙汰の騎士達が一室に集合。
 パロ聖騎士侯ルナン・ダルカス・ワリス、聖騎士伯リギア。
 市民義勇軍の代表カラヴィアのラン、カレニア伯ローニウス。
 心を躍らせ顔を揃えた勇将達の前で、アルド・ナリスが語り始めた。

「ルナン、ダルカス、ワリス、ローニウス、ラン、リギア、親愛なる戦友諸君。
 そう呼ばせて貰っても良いだろうね、もう大丈夫だよ。
 今まで散々辛い目に遭わせてしまったが、私は死の淵から帰って来た。
 心配は無用だ、大船に乗った気で安心してくれ給え。

 ランズベール侯爵を始め、貴い生命を捧げてくれた人々のお陰だ。
 絶望的な状況でも希望を棄てず戦い抜いた彼等が、私に新たな生命を与えてくれた。
 現在の私は筋肉が衰え歩行訓練の必要な状態だが、少しだけ時間を貰いたい。
 出来るだけ早く馬に乗れる状態まで回復させ、私も最前線に立ち共に戦うからね」

「何を仰いますか、ナリス様が御元気になられただけで充分です!
 リュイス達も草葉の陰で喜んでおる事でしょう、戦いは我等にお任せ下さい!!
 心配など為さらず御体の治療に御専念ください、御懸念には及びませんぞ!
 自ら先頭に立たれずとも、御尊顔を披露頂ければ充分です!!

 ナリス
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