『哀愁』
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時間は無情にも過ぎ去る。
寒い冬が来る。
3年生は卒業の準備。
あの時の思い出も、この時の思い出も、全てが無くなる...もう、楽しい時間がなくなる...
そう思うと辛かった。
こんなに学校生活が楽しくなるとは想像もしてなかった。
先輩の自転車の後ろに乗ったことがある。
自転車の名前はジョニー。
後ろに立って乗ると、景色が綺麗だった。
世界が変わって見えた。
風が気持ちよかった。
何気ないこと、当たり前のこと、零にとってはソレが些細な幸せだった。
他の子にとって普通なことでも、零にとっては普通じゃなかったから。
新鮮な経験もいっぱい出来た。
変に思われないように知ったかぶってみたりもした。
内心ビックリしてることや感動してることも、抑えたりした。
でも、先輩には嘘がバレてる気がした。
先輩の笑顔がそう感じる。
何もかも見透かされてるみたいで恥ずかしくなったりもした。
当時、付き合ってた人や好きな人はそれなりに居た。
それでも先輩と一緒の時間が1番楽しかった。
先輩は零のことを解ってくれてる人だから素直になれたし、見栄も虚勢も張らずに居れた。
たぶん自分らしく居れる唯一の存在で、凄く居心地が良かった。
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