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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第7話 六花が贈るメッセージ(中編)
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 腕を引かれるまま寄りかかった大樹から、空を見上げる。けれど、覆い茂る緑のせいで青色を目に写すことは出来ない。
 ひゅうと、心地良いような、底冷えする恐ろしさを孕んでいるような風が、頬を撫ぜていく。
「……キカちゃん、落ち着いた?」
「ええ、ありがとう。もう大丈夫よ」
 言いながらネージュの方へ顔を動かせば、彼は安心したようにふわりと笑った。私も笑みを浮かべて、左手の方へ意識を集中させる。
 実は、地面へ座った際に自然と手が重なりあっていたのだ。けれどネージュからは特に何も言われなかったし、私も特に退ける理由が見つからなかったのでそのままにしていた。すると、そこからじんわりと温もりが染み込んできたのだ。安らぐような、くすぐったいようなそれは私の混乱しきっていた思考を、いとも容易く宥めてしまったのだ。
 彼は不思議だ。たったこれだけで、その手のあたたかさだけで、私を落ち着かせてくれる。その目に痛いほどの輝きで、私が歩いている道を照らしてくれる。



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「……ネージュも、突然このエリアへ飛ばされて来たの?」
「うん。青白い光に包まれて……まるであのチュートリアルの時みたいだったよ」
「そう」
 私と同じだ、全く。
 しかし、同じ現象に遭った人が居て安心するべきなのか、それが大切な友人であるネージュであったことを悲しむべきなのか分からない。しかも状況は全く変わっていないし、打開策が見つかったわけでもない。
 私は、どうしたら彼と共にここから脱せるのだろうか。色々な感情がごった煮されてしまい、どす黒い色のそれに翻弄される。再び、グワンと押し上げるような気持ち悪さが全身を襲った。
「……ッ」
「どうしたの? ……まだ具合悪い?」
「だ、大丈夫。心配しないで」
「無理しないでよ。……どうせ、見ている人はいないんだから」
 気遣ってくれる言葉から、少しいたずらっぽい声音に変わった。……と、認識した瞬間、私の肩に重みが加わる。彼が私との距離を詰めてきたのだ。触れ合うことになったそこから、じんわりと温もりが広がってくる。
 ゆっくりと視線を横へ向ければ、私のすぐ横にネージュの横顔があった。サラサラとした綺麗な金髪が、頬をくすぐっている。
「……ネー……ジュ?」
「ちょっと寄っても良い? 肌寒くてさ」
「良いけれど……、ああ、それなら私のブランケットを貸しましょうか?」
 確かに人によっては寒いと感じるかもしれない。私は右手を持ち上げ、ウィンドウを開こうとする。だがその刹那、身を乗り出してきたネージュによって腕を掴まれた。
「わっ、ちょっ!? 何して……!」
「いい……、いらない」
 ――――近い。
 ボッと一気に顔へ熱が集まった。彼が身に付けている深緑色で、視界の半分を奪われる
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