暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン―【黒き剣士と暗銀の魔刃】
一節:各、それぞれの者等との邂逅
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ガトウは現実で剣術や武術でも習っていたのだろうか。

 だが、攻略組の一人を寝ぼけ眼で圧倒した事は確かであり、その事実が彼からすぐに目を放させない。


「……この眠り癖は兎も角、やはり一度彼と話をしてみる事にするよ。百聞は一見にしかずとも言うからな」
「団長、同行者は?」
「私が決める事にするよ。余り多人数で押し掛けても仕方がない、かといって私一人だと効率が良くない」
「なるほど……了解しました」


 アスナを含め団員全員は頷き、ヒースクリフの一声でその場は解散となる。
 全員が出て言った後……ヒースクリフは再度羊皮紙を眺め、先程とは全く色の違う、温かみも冷たさも感じない平坦な、しかしどこか困惑を感じる声色で呟く。


「……ある意味では、彼と同等、いや彼以上のイレギュラーかもしれないな、ガトウは……」


 それだけ言うと立ち上がり、一旦立ち止まってから壁へと目を向け、もう一度口を開いた。


「君は……君はこの世界に何を求めている? 君はこの世界へ何を思い踏み入れた? 睡眠を貪るのみの君は何者なんだい? ……プレイヤー、ガトウ」


 彼の口から発せられた、各プレイヤーが当然に抱く物から個人的な糸の含まれる―――実に様々な色を持ち、実に多数の疑問が乗る、真意の見えない問い掛け。

 真意を窺う事も出来ない表情も含め、納得できる確かな答えを出す事のできる者など……彼以外存在しないこの円形状の部屋には、当然居る筈もなかった。


 それは……ヒースクリフの表情が、僅かながらに“苦”に歪んだ、(いぶか)しむべき事すらも…………。
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