暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第八話 指切りの約束と、四月の空模様
[6/6]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話

 なんて疑問に思っている私を他所に、彼は何かに気づいたように空を見上げた。

「っと、雨が降りそうだな」

「あ、ホントだ」

「ちょっと引っ張るぞ」

「え……あっ」

 曇ってきた空に慌てた彼は、私の左手を握って走り出した。

 驚いた私は、しかしまた不思議な感覚に襲われた。

(なんで、ドキドキするんだろ……)

 彼に握られた左手はとても温かくて、握られている私はドキドキして。

 でも、それは決して嫌な感覚じゃなくて、嬉しいって思った。

 心臓は今までにないくらいバクバクと動いてて、左手に伝わって彼に聴こえていないか心配で。

(なんだろう、この気持ち)

 彼一人に、私の心は左右されていく。

 不安になったり、苦しくなったり、嬉しくなったり、期待しちゃったり。

(ホント……ずるいよ、私ばっかり)

 彼はきっと、何も知らない。

 私がこんなにも悩んでいることを。

 君一人に、こんなにも心を狂わされているってことを。

 私の、晴れたり曇ったりの、四月の空模様なんて……彼は、気づいてくれないだろう。

「……雨、降ってきたね」

「大丈夫、すぐ止むさ」

「ホントに?」

「だって雲の上は、いつだって晴れた空なんだからさ。 雲さえなくなれば、また晴れだすさ!」

 だとしたら『この雲』が晴れるのは、いつのことなのだろう――――。
[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ