流浪の剣士と一人の少年
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
私の目の前には一人のおじさんが立っていた。
後ろでまとめてある黒い髪の毛に、黒い瞳。背はお父さんよりも頭一つ高い。革でできた鎧を着ていて背中には綺麗な作りをした剣を背負っていた。
「ヘンリエッタ。この人がパパス殿だ。ご挨拶しなさい」
「……ヘンリエッタです。よろしくお願いします」
スカートの裾を両手でつまんでお辞儀をするとおじさんも綺麗なお辞儀を返して笑顔で、
「こちらこそよろしくお願いします。ヘンリエッタ王女」
と言った。
「…………」
「おやおや。私は嫌われてしまったようですな」
私がそれっきり黙ってしまったのを、おじさんは嫌われたと思ったらしい。でもそれはただの思い違い。
別に私はこのおじさんの事を嫌いになったわけじゃない。ただあまり関わって欲しくないの。
「しばらくの間この子のお守りを頼みますぞ」
「わかりました」
おじさんはお父さんに軽く頭を下げると、私に近づいた。
「さぁ、ヘンリエッタ王女。お部屋への案内を」
「……こっちよ」
私はパパスを引き連れて自分の部屋の前に案内して、私は部屋に入った。
「失礼しますぞ。ヘンリエッターー」
「残念だけど」
パパスが何か言おうとしていたのを遮って私は大声で言った。
「貴方と一緒にいたくないの。だから部屋に入らないで頂戴!」
勢いよく扉を閉めて、鍵を掛ける。
パパスは何か言っていたけど、返事を返さないでいたら何も言わなくなった。
恐る恐る鍵を外してちょっぴり扉を開けて外を覗き見たら、パパスは離れたところに一人で立っていた。
「まぁ、当然よね。私はこの国の王女なんだから。下手な事なんてできないわよね!」
さて、パパスはいなくなったしこの後どうしようかな、暇だなぁ。
私がそう考えていると、ノックする音が聞こえてきた。
「何よ、パパス」
何か用でもあるのかしら?
でも扉の向こうにいたのはパパスじゃなかった。
「僕は父さんじゃないよ」
男の子の声。
そういえば父さんが私と同じ年頃の息子がいるって言ってたわね。
「入ってもいい?」
別に私はパパスに関わって欲しくないだけで、その男の子は別に入ってきてもいい。新しい子分にできるからね。
「入ってきていいわよ」
返事をすると、男の子は扉を開けて入ってきた。なんか猫(らしき生き物)を連れて。
紫色のターバンとマントに若草色の服。黒い髪と瞳。パパスと同じように背中には樫の杖を背負っているけど正直似合っていない。
猫(らしき生き物)は赤い鬣に黄色の毛皮に黒いブチと青い瞳が特徴的。なかなか可愛らしいじゃない。
「それで、あんた誰?」
「僕はリュカ。それでこっちはボ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ